帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ48)

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わたし、休日でもちゃんと顔は洗う主義。それが幸いして、わざわざ顔を洗う手間は省けた。とりあえずタンスから引っ張り出した無難な服に着替える。普段からメイクは最低限しかしないけど、さすがにすっぴんで出歩くのはキツイから、これはメガネで誤魔化した。

爆速で準備して家を出ると、相変わらずわたしを見下すようにニヤニヤ笑ったふたりに両側から肩を組まれて。わたしは、もう逃げ場はないと悟る。

そして文字通り彼女らの財布係としてあちこち連れ回され、ついでに「ストレス溜まってるから」とかいう理不尽な理由で一発ずついかれた。顔に。

(ほんと最悪)

まずはランチを食べにレストランへ行き、服を買いにショッピングモールへ。もちろんわたしは会計の時以外は外で待機ね。その途中で雨に降られて、慌てて家を出たもんだから傘を持ってないわたしは、ふたりの買い物が終わるまで、鞄を傘替わりに震えていた。

(帰りたいなぁ……)

空が夕焼けの光に染まり始めた頃。ラウンドワンでかれこれ3時間は遊んでいるふたりを駐輪場の隅で待つわたしは、そんなことを思いながらずぶ濡れの鞄を抱えてしゃがみ込んだ。

あーあ、なんか久しぶりだわ、この感じ。だからこそしんどい。
毎日耐えてた時は慣れと感覚の麻痺で3時間なんて大したことなかったのに。きっと、それだけここ数ヶ月が楽しかったんだ。

ほんっっとに、しょーもない陰キャムーブかましてないでみんなについてけばよかった。

……叶わないタラレバばっかり募らせて、大きなため息を吐いた時だった。

「何してんだお前」

「！」

通り過ぎたはずのバイクが目の前で止まる音。顔を上げると、そこには伍代くんがいて。わたしは思わず声を裏返らせた。

「伍代くん……！なんでここに」

「いやこっちのセリフな。お前こそこんな所で何やってんだ」

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