帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ40)

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#噂のあの子のお母さんページ40

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週末。つまり休日。

予定がない日はひたすら家で寝てる陰キャの象徴(自称)のわたしは、今日もいつものジャージにメガネ姿でベッドに寝転がって、休みを謳歌していた。

「はぁ…………すること無。最高」

中学の頃は、一日中やることがなくてなんの生産性もない一日を過ごしたら、もっと有意義に時間を使えたんじゃないかって後悔してた。でも今はもうそんなことは思わない。こうして布団の中から一切出ずに過ごすことこそが有意義だって気づいたからだ。

こちとら陰キャ極め歴15年なんで。そこらの自称陰キャの陽キャたちとは一線を画していると思います。

(うーん…………)

ぽいとスマホを放って、あざらしの抱き枕を抱きしめなおす。
何も考えず寝て過ごすはずだったんだけど、そんなわたしの頭には気がかりなことがあった。

(難破くんに伍代くん、大丈夫かな)

難破くんは精神面、伍代くんは肉体面での傷が心配で。あざらしに顔を埋めると、真っ暗になった視界に前のことが蘇った。

あの後、伍代くんは病院送りにしたから(語弊)、それなりに手当てはしてもらっただろうけど。完全に痛みが消えるわけじゃないでしょ。傷跡はすぐには消えないし。それにわたしがあんな大怪我したら普通にショック死する。

そして次に難破くんだ。伍代くんが傷ついたことを、わたしが思う以上に気に病んでいるみたい。やっぱ周りにどんな声をかけられても消えない気持ちっていうのはあるもんね。

(大丈夫ですかって連絡してみようかな……いやでもそんな陽キャみたいなことわたしにはできないし…)

心配なのはやまやまだ。でも自分から電話するとかそういうのに慣れてなくて、スマホを持ち直す手がガタガタ震えた。電話しても、もし今すごく忙しくて、出るなり「何の用だてめえ時間考えろやボケェ」とか言われてみな。包丁はすぐそこだぞ。

と、その時。

─────プルルルル……

「？！？！」

突如鳴り響くスマホの着信音に、ベッドから転げ落ちた。

この前サイレン聞いた不良の皆さんはこんな気持ちだったのかな、なんて思いながらぶつけた背中を擦って、おそるおそるスマホに手を伸ばす。電話なんて家族以外からかかってくること基本ないし、あるとするなら「今〇〇にいるから〇〇買ってこい。5分で」とかいうトウコさんアカリさんからの脅迫くらい。

覚悟を決めて画面を見たわたしは目を見開いて、迷わず通話ボタンをタップした。

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