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「兄貴はぜってー渡さない！…………っ難破？どうしたその顔」
敵が襲ってきたと思ったのか、わたしたちを庇うように両手を広げた不良くんは、そこにいるのが難破くんだとわかると、その警戒を緩めた。ふたりはお友達なのかな。
不良くんとふたり、ベンチに並んで座って、難破くんは市松の不良に襲われたところを伍代くんに助けてもらったと話した。わたしは黙々と傷に消毒綿を押し当てながら、その話に耳を傾けた。
「島崎くん、ごめん。水買ってきてもらえる？」
「いや、俺は兄貴の舎弟だからそばに居るわ。水だったら…」
「……いいから早く買ってこいよ！！」
突然の大声に肩が跳ねる。不良くん…基、島崎くんは頑なに伍代くんから離れようとしないけれど、彼の前で伍代くんのことを話す訳にはいかないから。「あ、ごめん……お願い」と今度は弱々しく訴えかけると、面食らった島崎くんは素直に水を買いに行った。
「さっきのサイレン、姉崎か？」
「……はい。ごめんなさい、あんなことしかできなくて」
「いいんだ。おかげで助かったし。ありがとう」
眉を下げて優しく笑った難破くんは、長くため息を吐き出して顔を覆った。
……自分の秘密を守るために、目の前で伍代くんがやられてしまった。自分の責任だと抱え込んで、いっぱいいっぱいになってるんだ。
「…………オイ伍代、お前大丈夫かよ」
……長い、沈黙。返事はない。
「クソッ！」
ガタン！とベンチを叩いて悔しげに顔を歪める難破くんは、今にも泣きそうな子供みたいに見えた。
「お前……まだ腕折れてんだろ？なに無茶してんだよ…！……巻き込んじまったじゃねえかよ、くっだらねえ二重生活に」
「お前に特服の場所なんか教えるんじゃなかった」と、難破くんは言った。
自分ひとりで突き通すと決めた嘘。でもそれはたったひとりの背にはあまりに負いきれなくて。その結果、友達を巻き込んでしまった。子供じみた秘密のために周りの人を傷つけてしまったこと、自分だけではどうにもならなかったこと……。
ただただ自分が許せなくて、湧き上がる憤りをどこに向ければいいかも分からない。ぐちゃぐちゃの感情を押しのけて、その果てに残るのは、深い深い葛藤。
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みお(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました！ (11月3日 2時) (
レス) @page39 id: 53a16e4f6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月1日 15時
