帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ31)

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その時。

─────バンッ！！

「ヒッ？！？！」

陰キャあるある③。静かな環境を好む。故にいきなりのデカい音にめちゃくちゃ弱い。

ベンチの後ろの扉が思いっきり開く音がして、ビビりすぎてペットボトルを落としそうになった。あとリアルに垂直に10センチくらい跳んだ。

「場所どこだ？」

「駅の近くです」

見るからに他の不良とは違う、デカい身体のヤンキーが、下っ端をたくさん連れて扉の向こうから出てきた。関わりたくないって言ったそばからこれだ。

しかもよりによって扉は伍代くんじゃなくわたし側にあったから、不良の皆さんがまともにわたしの横を通り過ぎてくわけで。スマホのバイブとかいうレベルじゃないくらいに震えていた。多分ここだけ震度8強。震源地わたし。

「待ってろよ特服……今度こそぶち殺してやる！！！」

ただでさえ怖いその顔を歪めて、殺意剥き出して歩いていくヤンキーさん。その一言に、何かが引っかかった。

「え……」

「特服……？」

一気に身体から温度が消えていくのを感じた。今どき特攻服なんて着てる不良は滅多にいないし、怖い人達があんなに殺意をギラつかせるなんて。間違いなく彼らの狙いは、市松生が血眼になって探していた例の白い特攻服だ。

端的な会話だったけど、それで全てを察してしまった。どこかで市松の誰かがその特攻服を見つけたんだ。

……難破くんの正体が、バレてしまう。

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