帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ30)

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#賞金首の男ページ30

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伍代くんとの学園ライフin市松(血の色)は特別楽しいとか、そういうものでは断じてないけれど。なんというか、当初の不安に反して平和なものではあった。

初めこそは誰かと常に一緒にいるとか生き地獄だろとか思ってたけど、この市松高校でひとりになったら死ぬっていうのはわたしも理解している。

それこそ、伍代くんがいない時にトウコさんアカリさんにエンカウントしたらどうなるか。多分会ったらわたしは腰抜かして泣く。

「2年の最上には関わんなよ」

いつものブラックコーヒーを啜って、伍代くんが言う。その横でこれまたいつものアップルティーのペットボトルを弄るわたしは、その手を止めて顔を上げた。

「ヤバい人ですか？」

「おう。ウチの2年を占めてる野郎だ」

「へえ……つ、強いんですね、その人」

「まあな。正直お前が目ぇつけられても守ってやれるか分かんねえし」

え？と思わずその横顔を見つめると、「あ？何だよ」と眉根を寄せられた。なるほど、これ素でやってるっぽい。守って欲しいなんて言った覚えないのに。さらっとこういう歯が浮くこと言っちゃうし、そんなセリフが様になるからイケメンこわい。

「あとは3年の陣内……って言っても分かんねえだろうけど。とりあえずヤバそうなやつは全力で避けろ」

「最上さん、陣内さん……」

「そー」

1年最強を謳われる伍代くん。そんな立ち位置の人が、各学年にひとりずついるんだろう。あんなに強い伍代くんにここまで言わせるなんて、なかなか恐ろしいな。もし会っちゃったら目合わせずに後ろ歩きで逃げることにしよう。肉食獣って目合わせなかったら襲ってこないって聞いたことあったから。

でもなぁ、名前だけ言われてもどれが誰か分からないっていうのも本音だ。それにわたしからしたらその辺の下っ端ヤンキーでさえ怖いから。“関わるな”なんていちいち言われなくても、“関わりたくない”んですこっちは。

「じゃ、じゃあもうここでは伍代くんとだけ関わってたらいいですね」

下手に友達増やそうなんて馬鹿なことは考えないでいこう。伍代くんから離れなければ危険なことは避けられるし、ぶっちゃけ不良の友達とかこれ以上いらないし。

それが間違いない、と頷いていると、何故か伍代くんはぽかんとして、鳩が豆鉄砲食らったみたいに目をまるくさせた。

「…………お前それ素でやってんのかよ」

「えっ？」

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