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わたしのせいで明らかに空気が淀んでいる。普段ならきっと、みんなでわらわら集まって楽しく食卓を囲んでる夕食の時間だったろうに。なんかすいません。死んで詫びます。
「ふう……もうメシか」
そこへ現れた、難破家最後のひとり。今までに個性の強い人ばっか出てきたけど、そんな個性に負けない…寧ろ誰よりも我が強いんじゃないかって風格を漂わせるその人は、難破くんのお兄さん。関東制覇したとか何とかいう、噂のお兄さんだ。
「あー、兄ちゃん。市松のツレで、伍代と姉崎」
見慣れないわたしと伍代くんの姿に首を傾げたお兄さん…猛さんに、難破くんが本日4度目の紹介をする。そして本日4度目の会釈をすると、猛さんはわたしたちを品定めでもするかのように交互に見た後、一言。
「シャベーな」
「シャベえ…？！」
「しゃ、？？」
そういや前に伍代くんも言ってたけど、シャベエってどういう意味なんだろう。ヤンキー用語なんだろうけど。まぁでも、猛さんの表情からするに、そんなにいい意味の言葉じゃないんだろう。それにほら、隣に座った吟子ちゃんが「姉さんにそんなこと言わないでよ！」とぷりぷり怒ってる。
たった一言と共にわたしたちに一瞥をくれた猛さんが席に着くと、これから決起集会でも始めるのかといった空気に満たされる。そして、難破父…勝さんが勢いよく両手を合わせた。
「よォし…………いただきます！！」
「「「「いただきまァす！！」」」」
「？！？！」
とんでもない声量に卒倒しそうになりつつも、慌てて両手を合わせ、わたしも小さな声で「いただきます」を言う。「姉さんどうぞっ！」と吟子ちゃんがよそってくれた唐揚げを受け取って、ひとつ口に運ぶと、じゅわっと肉汁が溢れ出す。わ、思ってた通り…いや、それ以上に美味しい。ほっぺたが落ちそうって、このこと言うんだね。
「ん〜……っ！」
「美味っ」
「だろ！おめえら、母ちゃんの唐揚げなんて気合いが違えんだよ！なァ！」
「……こんな美味ぇの初めて食った」
「まだまだあっからよ、どんどん食えよ」
目をきらきらさせてもうひとつ、唐揚げに齧り付くと、そんな様子を見ていたお母さん、ナオミさんがにっこり笑って言ってくれた。
久しぶりに、家族の温もりに触れた気がした。
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みお(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました！ (11月3日 2時) (
レス) @page39 id: 53a16e4f6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月1日 15時
