帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ21)

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「ほらできたぞ！」

そんな会話をしていると、キッチンに立っていた難破母が、大皿いっぱいの唐揚げを机のド真ん中にどんと置いた。

揚げたての衣から暖かい湯気と美味しい匂いがぶわっと広がった。自然と涎が出そうになって、ぐうとお腹が鳴る。別にお腹空いてたわけじゃないけど、これはもう見てるだけでお腹空くやつだ。うわあ、美味しそう。

「俺こんな食えねえぞ」

「誰が全部食えっつったよ。座れ」

「ウチはいつもこうなんだよ。食いたいだけ食いゃいいんだよ」

「でけえ皿家族みんなでつついたら美味えだろ」

確かに、みんなで食卓を囲うのは美味しくて楽しくて幸せだ。難破くんのおうちは家族が多いから尚更だろう。一見するとヤンキーばっかで怖かったけど、この家族は暖かい。わたし自身、こうして家族でご飯を食べるのは久しぶりで、なんだか懐かしくなった。

しかし、そんなほっこりした空気に爆弾を落とした人間がひとり。

「……俺、いつもひとりでコンビニ弁当だから分かんねえよ」

ぽつりと。小さく呟いた伍代くんの一言に、その場はシンと静まり返る。え、もしかしてあれですか。一匹狼のイケメンの境遇重いっていう少年漫画あるあるですか。

で、でも毎日コンビニ弁当は大変じゃない？栄養面もそうだし、毎日ってなるとお金も馬鹿にならないでしょ。

「じ、自炊とかしないんですか？」

「しねえ」

「そういう姉崎は料理すんのかよ」

「はい。一人暮らしなので……」

「「「「え？！」」」」

空気が再び凍りつく。「その歳で？！」と声を揃えたご両親の声に肩が跳ねた。

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