帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ19)

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先生、だなんて大袈裟に担ぎ上げられるのを全力で否定しながら、伍代くんに先導されて服屋さんにやって来た。

ずらっと並んだ服の数々。服買いになんて滅多に来ないし、来たところでメンズ服コーナーなんて見ることないから新鮮で、おお、と声を漏らしながら店内を物色する。

(でもなぁ……女ウケする服って言ってもわたし詳しくないしな)

うーん、と悩みながら、色んな服を手に取ってみる。だけとビビッとくるのはあんまりなくて。いきなり女ウケだとか言い出すなんて、好きな子でもいるのかな。それこそ、トウコさんやアカリさんたちの方が詳しいんじゃないだろうか。

てかこういうのってマネキンの服丸パクリじゃダメなのかな。

「オイ姉崎お前、マネキンのまんま持ってくるつもりじゃねえだろうな」

「え、なんで分かったんですか」

「お前な……」

はあ、とため息をつかれた。解せぬ。

だってマネキンに着せられてる服って言わばお手本ってことでしょ？だったらこれなら間違いないワケじゃん。安パイ狙うならマネキン一択な気がするんだけど。ほんでどれも高いんだわ。学生に払える額じゃないのよ。伍代くん曰く、基本服はここで買ってるらしいけど、もしかして伍代くん家ってお金持ち？

「これとか？……あー、チェック似合わねえな」

「あ？着てみねーと分かんねえだろ」

手に取る服をあれこれ合わせてみる。何着か試着もしたけど、それっぽいコーデは見つからず。難破くんが試着室から出てくるたびに、スタイリスト(仮)の伍代くんはイマイチとでも言いたげに首を傾げた。

「…………あっ」

そこでふと、視界に映ったそれ(・・)に、ふと目を奪われた。特別オシャレだとか、そういうんじゃないけど。シンプルで、なおかつ清潔感とかも出せるような、そんなアイテム。

引き寄せられるように近づいて、それ(・・)を手にすると、背後から「お、なかなかいいチョイスじゃん」と声がした。

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