帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ17)

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きょとんと首を傾げるわたし。伍代くんを見ると、彼も似たような心境らしく、「は？」と眉根を寄せていた。

そんなわたしたちを横目に、難波くんはべらべらと話し始める。

「俺さぁ……ヤンキー向いてねえんだよ」

「「？！？！」」

やっと震えが落ち着いてきたから、アップルティーに口をつけたタイミングで、難破くんはそう言った。

……いや、あんだけ暴れ回っといてどの口が？！

思わず伍代くんと同時にコーヒーとアップルティーを吹き出した。勢いに任せて心の声まで吹き出さなかったことを誰か讃えて欲しい。

「普通に勉強したりさ、部活したりしたかったんだけど。ウチヤンキー一家だしさ。兄ちゃんもあんなんだろ」

ヤンキー一家ってことは……お兄さんや難破くんだけでなく、他のご家族の皆さんも荒れていらっしゃると。そんな家庭で育った、血管までヤンキーに染まってるような難破くんにも、そんな人並みな夢があったんだ。そう思うと一気に親近感を覚えたというか、彼に対する見方が変わった気がした。

そんな傍らで、吹き出したコーヒーを拭った伍代くんが、ふっと小さく笑った。

「何だよ」

「それ本気で言ってんのか？」

「おう」

こっくりと、確かに頷く難破くん。そのために本性隠してこんな真面目な格好して、普通の学校に通うなんて。言うなればあれか、逆高校デビューか。わたしとは正反対だね。

「…………」

「……あ？」

それならなんとしてでもこの秘密を守らなくちゃ。心の中で密かに意気込んでいると、難破くんが何やら急にその場にしゃがみこんだ。

一体何事だとわたしたちが見つめる前で、難破くんは伍代くんを頭の先からつま先まで、ジロジロと舐め回すように見つめている。え、なに。今から喧嘩？ならわたし帰りたいんですが。

「お前ってさ、いつもシュッとしてるよな」

「はぁ？」

「ひとつ頼みがあんだけど」

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