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吟子ちゃんの物言いはいつも大袈裟だけど、確かに的を射ているとも思った。だってクリスマスに男女がふたりで出かけるなんてそれはデート以外の何物でもないから。
分かっちゃいたけど改まって言われると恥ずかしくて、わたしはスマホ片手に頭を抱えた。
「ど、どうしたらいいかな……わたし全く分かんなくて」
2つも歳下の子に相談事なんてプライドないのかって思われるかもしれない。でも今回ばかりは仕方ない。
クリスマスなんて、友達と一緒に遊んだことすらないのに。
トウコさんアカリさんたちはクリスマスって言ったら大抵いい感じの男の子とデートしたり、仲良しギャルグループでクリパしてたし。さすがにそんな場にパシリを連れてく訳にはいかないのか、呼ばれたことは一度もなかった。
藁にもすがる思いで吟子ちゃんに泣きついた。そして、そこではじめて、彼女がわたしの想像以上に頼もしくて、おっきな背中をしていたことに気づく。
『姉さんにはお世話になったし。あたしに任せてよ！』
「助かる……」
『代わりに姉さんもあたしと佐藤くん上手いことアテンドしてね』
「ベストは尽くします……！」
わたしなんかが役に立つかは分かんないけど。
『とりあえず今度一緒に買い物行こ。服選ばなきゃ』
「だね」
佐藤くんを家に呼ばなきゃいけない話をしてた時とはまるで違う、「姉さんとお出かけ楽しみだな〜」なんてルンルンな吟子ちゃんの声を聞きながら、ほっとしてあざらしを抱きしめた。
ひとりじゃ不安でしかなかったけど、こうやって底抜けに明るい彼女と一緒なら何とかなる気がしてきた。
そうと決まれば話は早い。早速出かける約束を具体的に決め、買い物と同時に各々のデート(仮)に向けての作戦会議もすることになった。そして真夜中にも関わらず、吟子ちゃんのハイテンションは止まらない。
「あ、あの……この事は誰にも言わないでね。特にその……難破くんとか」
『まっかせてよ！あたしら“片想い同盟”だもんね！』
「同盟？」
聞きなれないワードに、首を傾げた。「そ！」と電話越しの声が弾んで、何があっても常に状況を報告して協力し合う同盟なのだと語る。
別にわたしは伍代くんを好きだとか言ったつもりはないんだけど、ご機嫌な吟子ちゃん相手にそんな冷めたこと言えなくて。
「じゃあよろしくね」と頷いて。ふたりの同盟は固く結ばれたのだった。
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はるちよ - とても面白くて毎日読み返しています！リクエスト良いですか？！今の五代くんの話が終わったら寂しくなってしまうので、もしまめこさん さえよえれば、五代くんの話を他にも書いて欲しいです。 (11月10日 18時) (
レス) id: b6e7a94813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月3日 12時
