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話してみると、佐藤くんは第一印象どおりのいい子だった。
頭も良くて、吟子ちゃんが「わかんない」と言うとすぐに自分の勉強を中断して、分かりやすく解説していた。多分これ佐藤くんも吟子ちゃんのこと好きだと思う。
けれどそんな彼もまだまだ未熟な中学2年生だから分からない問題もあるわけで。そういうところはわたしが教えてあげた。
「姉崎先輩、この英文なんですけど」
「えっと。これは助動詞がついてるから翻訳は……」
「姉さん姉さん、2rってなんだっけ」
「rが半径だから、それの2倍で直径ね」
こんな具合で、基本的に中学生ふたりで助け合いながら、それでも分からないところはわたしが助け舟を出す形で勉強会は進んだ。
……なんかいいなぁ、こういうの。みんなで集まってテスト勉強してさ。嫌なはずの勉強でも好きな人や友達となら楽しくなるっていうし。そしてわたしもそろそろ慌てなくちゃ。
「そういや姉さん彼氏できたー？」
「？！」
突拍子すぎる吟子ちゃんからの問いかけに、飲もうとしたりんごジュースを思いっきりぶちまけた。さすがに机には吐かなかったよ、咄嗟に横向いてテーブル横の廊下に吐いた。ゲホゴホ噎せていると、駆けつけた店員さんがおしぼりを渡してくれて、「大丈夫ですか？！」と床を拭いている。なんかすいません。
ていうか今わたしたち数学の問題解いてましたよね。
「で、できてないかな……」
「えええっ？！まだいないの？冬だよ？」
それ関係なくない？別に夏だから彼氏いなくていいとか、そういう問題でもないでしょ。
店員さんにもらったおしぼりで口元を拭いていると、こちらも純粋な佐藤くんがぽかんとした顔でわたしを見ていた。
「どうしたの……？」
「高校生の人ってだいたい彼氏とかいるもんだと……あ、でも先輩は学校が学校だし…難しいですよね、すみません」
「兄ちゃんと付き合ったら？」
「え、遠慮しとく……」
難破くんはいい子だけどね。付き合うってなると話は別っていうか。それに学校で好きな子いるみたいだし。
女子トーク大好き、恋バナ大好きな吟子ちゃんは言うまでもないとして。佐藤くんの方も人の恋愛沙汰にはそれなりに興味はあるらしく、興味津々って感じの目をしてわたしを見つめている。
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はるちよ - とても面白くて毎日読み返しています！リクエスト良いですか？！今の五代くんの話が終わったら寂しくなってしまうので、もしまめこさん さえよえれば、五代くんの話を他にも書いて欲しいです。 (11月10日 18時) (
レス) id: b6e7a94813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月3日 12時
