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「Aはわたしのためにずっと戦ってくれたんだよね。でも私は逃げた……ずっと、謝りたくて…」
綺麗にアイロンがけされたスカートに雫が落ちて、いくつもシミができる。声を震わせる桃花を前に、わたしはなんて声をかけていいか分からなくて、背中に添えかけた手を、宙に浮かべたまま握りしめた。
「今更こんなこと言ってもどうにもならないだろうけど、私実は謝ろうとしたんだよ……でもその時見ちゃったの……あの人たち……、Aの…腕を……っ！」
「！」
「それを見てから怖くなっちゃって、もう関わりたくないって思っちゃって……」
その言葉に、びっくりして目を見開く。左腕を焼かれた時、なんと桃花はそれを見ていたらしい。傷を負ったわたしも未だに引き摺っているのに、第三者視点で見ていた彼女にとってはとんでもないトラウマになっただろう。
それから桃花はわたしに謝った。巻き込んでごめんなさい、見て見ぬふりしてごめんなさい。何度も何度も、その六文字を口にした。そんな姿が…丸めた背中があまりに小さく弱々しく見えて、わたしは首を振りながら彼女を抱きしめた。
「謝らないで。わたしは桃花のこと悪いなんて……」
「違う、Aが気にしなくても私はするの！」
引き寄せた腕の中で、桃花が声を荒らげる。そしてわたしは気づいた。
……彼女が欲しいのは、慰めの言葉でも同情の気持ちでもない、と。
「ふとした時に、A今どこで何してるかなって、あの時逃げずにいれば今も一緒に遊べてたかなって……そうやって後悔ばっかり……！」
わたしが「気にしてないよ」と流すたび、桃花の心には罪の意識が溜まっていく。彼女が欲しいのは“わたしからの許し”。
謝罪の気持ちを受け入れてもらって、許しを得ることで、漸っと彼女の心の罪悪感は消え去るのかもしれない。
わたしは桃花の両肩に手を置いて、真っ正面から目を合わせた。
そこにはもう、「今日はどこ行く？！」なんて楽しげにはしゃいでいた、眩しいくらいの光は点っていない。
わたしが桃花がしたことを何とも思っていなくとも、桃花はそうではないのだ。現にこうやって、爛々と輝いていた瞳がここまで濁るほど、思い悩ませてしまった。
「謝ってくれてありがとう。わたし、桃花のこと許すよ」
「Aっ……！」
「でも、気にしてないのは本当。その上で桃花の言葉、ちゃんと受け止めたから」
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はるちよ - とても面白くて毎日読み返しています！リクエスト良いですか？！今の五代くんの話が終わったら寂しくなってしまうので、もしまめこさん さえよえれば、五代くんの話を他にも書いて欲しいです。 (11月10日 18時) (
レス) id: b6e7a94813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月3日 12時
