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-(no.side)
「オイ、お前ら市松だろ」
河川敷の石段で、溜まって騒いでいた不良が5人。彼らの元に、ひとりの男が尋ねてきた。
「ちょっとツラ貸してくれねえか？」
ポケットに手を突っ込んだ男の額には、大きな傷跡。
不敵に笑った男は言うが、はいそうですかと素直に面を貸すバカなどここにはいない。不良たちは眉間に皺を寄せ、男の周りを取り囲む。
「はぁ？“ツラ貸せ”だ？」
「てめえ千鳥だな」
「…………千鳥？」
「ひとりで来るなんてイカれてるなァ！」
怒号をあげた不良が、男の傷ついた額を弾く
自分たちが市松生と知っておきながら面を貸せだなんて、非常識にも程がある。これから5人でタコ殴りだと、不良全員が思った。
…………が。
「なァ、伍代はどこだって聞いてんだよ」
地面に崩れ落ちた不良たちを見下ろした男の、鋭く冷たい眼差し。
息巻いていた不良たちは勢いの割に、あっという間に完封されてしまった。
起き上がることすらままならない不良のうちひとりの胸ぐらを掴み、ぐいと引き摺り上げた男は、再び拳を握りしめる。掴まれた不良は大慌てで口を開いた。
「伍代のやつ、いつもスカしてっからよォ、ツレなんてひとりもいねえよ」
「…………あ、でも……！アイツ、最近よく女連れ歩いてるぜ…！」
「あ？」
男はパッと手を離し、今度は足元で呻く不良の頭を鷲掴みにして引っ張り上げる。「あの直樹に女……？」と小さく呟いた声は誰にも拾われることはなく、そして、素性の知れないこの男の心の内を悟る者も、誰もいなかった。
「この前ナンパしようとしたら伍代の野郎にボッコボコにされて……」
「……その女の名前と特徴は」
「名前は確か、姉崎A……金髪でタッパのあるキレーな顔した女だよ」
血を吐きながら不良が口にしたのは、Aの名前。
それを聞き届けた男は、最後に一発ずつトドメを刺し、そしてニイと口角を引き上げた。
「どこに居やがんだ直樹…………女を殺せば出てくるのか？」
……夏らしくない、冷たく不穏な風が、吹き抜けた。
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はるちよ - とても面白くて毎日読み返しています！リクエスト良いですか？！今の五代くんの話が終わったら寂しくなってしまうので、もしまめこさん さえよえれば、五代くんの話を他にも書いて欲しいです。 (11月10日 18時) (
レス) id: b6e7a94813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月3日 12時
