まだまだ現役JKですがなにか？【ワートリ】 (ページ34)

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129:人生を変えるのは少しの下心と好奇心ページ34

警戒区域に現れたのは、大きな身体のバムスター。
……あの日(・・・)、お姉ちゃんを守ろうと警戒区域に忍び込んだわたしの前に現れた、あの(・・)バムスター。

「聞く感じ出てきたのはコイツらだけっぽいですね」

「ひとり一体でも釣り来んじゃん。余りは早いもん勝ちな」

「絶好調ですね、Aさん」

「ぐだぐだ言ってないで取り掛かるぞ」

「「「了解」」」

目の前で建物を踏みつけにする異形の化け物は、今となっちゃもう怖くも何もないけど。あの時感じた恐怖とか、有り得ないくらいの身体の震えを、ふとした時に思い出すんだよね。あそこで出水たちが来なくて、その背中に憧れていなかったら、今頃わたしは怯えて暮らしてたかな。

運命と書いてさだめと読むとか、そういう小洒落た話に興味はない。だけどあの時柄にもなく“正義感”なんてものに駆られて走り出したのは、必然だったんじゃないかなぁと思う。

『Aちゃん、解析できたからデータ送るね』

「さんきゅ〜みかみか」

「いつも思うけど頭使えない人にデータって必要？」

「ちくちく言葉どころじゃねえや？！」

自分が頭いいからって先輩を見下すんじゃありませんよ士郎くん。言葉のナイフぶっ刺さって即死レベルすわ。

てかウチの隊わたし以外みんな六頴館なのやば。賢い人たち勢揃いの頭脳派部隊ってわけ？(今更)脳筋(わたし)に対する軽めのイジめじゃんもう泣いちゃう。

ほんと、この子達にもあの出来事がなかったら、知り合えてなかったんだもんね。それだけじゃない。米屋や出水とバカやるのも、放課後マックで光たちと女子会するのも、駿や後輩たちを愛でるのも、そんな日常は送れなかった。

そう思えば、縁ってやっぱ不思議だなぁ。

あの時、モテたいっていうちょっとの下心がわたしを突き動かした。そうやって踏み出したちっちゃな一歩がいつか人生を大きく変えるって、ここ最近でつくづく実感したよ。