まだまだ現役JKですがなにか？【ワートリ】 (ページ24)

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119:明らかに人選ミスだと思いますページ24

(side.Tsuji)

何が、起きてるんだろう。

「あ、あの…………」

戸惑いながらも口を開くと、目の前で深刻な顔をした成海さんは、足を組み直して言った。

「噂には聞いてると思うんだけどさ、辻ちゃんの見解を聞かせて欲しい」

女子が苦手な俺がまともに照れずに会話ができるのはひゃみさんと鳩原先輩ぐらい。成海さんはどちらかというと苦手なタイプでちょっと怖かった。でも会う度にぐいぐい話しかけてくるから嫌でも慣れたっていうか。一時期は俺と話すために隊室の外に待ち伏せてたりして恐怖だったけど、今では会話らしい会話はできるようになったと思う。まだ恥ずかしくて目は合わせられないけどね。

そういうわけで今日もどこからか突然現れた成海さんに捕まった俺は、何故か食堂で彼女と向かい合うように座らされていた。

「なんでおれ……？」

「そこにいたから」

「俺、山じゃないんだけど」

ジョージ・マロリーじゃないんだよ。

成海さんの言ってる“噂”っていうのは、米屋に告白されたとかいうアレだろう。ひゃみさんが「ねえ聞いた？！」と興奮気味に話してたのを思い出す。成海さんなりに困ってるんだろうけど、助言求めるべき相手は確実に俺じゃないよ間違いなく。

「なーんかこの会話前に1回したわ」

「そ、そうなんだ」

「誰だっkぐぁああああ思い出すなってぇえ！！」

「？！」

ぐわあ！と悲鳴をあげて頭を抱える成海さん。米屋との会話でも思い出したんだろうか。彼女はそろそろ末期かもしれない。

「…………失礼。びっくりしたよね、ごめん」

「うん……めっちゃびっくりした」

「で、辻ちゃんはどう思う？」

「さぁ……？俺、恋愛沙汰とか弱いから……頼りになんないと思うけど」

「わかってる。でも弱いからこそ、そういう立場になった時にどう考えるか参考にしたくて」

実はわたしも恋バナそんな強くないんだよね、と続ける成海さん。聞いた当初は「そんなわけないだろ」って思ったけど、よくよく考えてみたら意外でもないか。なんか、成海さんが恋愛してるイメージが全く湧かない。

「とりあえずさ、その時の状況再現するわ。わたし米屋やるから辻ちゃんわたし役やってよ」

「こ、殺す気？！？！」

同じ恋愛初心者としての目線で俺の意見聞きたかったのかなって思うとちょっとだけ納得しちゃって。

話くらいなら聞いてあげようと思った俺がどうやらバカだったらしい。