まだまだ現役JKですがなにか？【ワートリ】 (ページ21)

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116:ハヤさんは知ってしまった！ページ21

「あのね、Aちゃん」

ひとしきりランク戦で暴れたら少しだけど気分も晴れて。自販機でも寄ろうかなってフラフラしてたわたしに、ヒールをカツカツ鳴らしながら真っ直ぐに近寄ってきた人がいた。

「聞きたいことがあるんだけど」

瞬きひとつせず真っ直ぐにわたしを見つめたまま、文字通り目と鼻の先まで顔を近づけてきたかと思うと、ガシッと両肩を掴んできたその人(・・・)……王子隊オペの橘高羽矢さんは、いきなりの事に混乱するわたしに言い放った。

「米屋くんに告白されたってほんと？」

「？！？！」

せっかくスカッとしたところだってのに。羽矢さんには申し訳ないけどあまりにタイミングが悪すぎる。勘弁して。

そんな事情を知る由もない羽矢さんは、目をギラギラさせて見つめてくる。この人、綺麗な顔にお淑やかそうな立ち振る舞いしときながらこういう所あるからなぁ。でも普段あんまり関わんない羽矢さんにまで話が行き渡ってたなんて思ってなくて、わたしはそっちにびっくりだった。

「どこ情報すか」

「王子くん」

「ええ、そんなとこまで……」

「その反応は本当なのね？！」

「まあ、否定はしないですけど」

「素晴らしい……！」

渋々認めると、羽矢さんはコクコクと頷きながら目を閉じて、噛み締めるようにガッツポーズ。そんで、「よくやった」とでも言いたげにもう片方の手でぽんぽんと肩を叩かれた。なんこれ。

「遂に推しカプが公式に……！素晴らしい！！生きてて良かった！！ありがとうAちゃん！」

「大袈裟ですね？！」

「それだけの事態なのよこれは」

字面だけで見るとふざけてるみたいだけど、表情見てる限りではマジだわこの人。目がキマッてる。

素晴らしい！ありがとう！とうわ言のように何度も何度も繰り返したかと思うと、羽矢さんはいい匂いのする細い腕でわたしを引き寄せて、ぎゅっと抱き締めてくれた。いや嬉しいけども。

だから、なんこれ。(n回目)