まだまだ現役JKですがなにか？【ワートリ】 (ページ16)

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111:高校デビューってそんなハズいこと？ページ16

「…………死゛ぬ゛」

「あっは、死んでんじゃん」

「Aあんた元気すぎでしょ」

「まだ3回はいけんね」

「マジかよ」

わたしらが持久走でいつも走ってるのは、1周300mのグラウンドを10周。ちなみに男子は300mより一回り大きな400mの線に沿って10周走ってるらしい。わたしそっちでも余裕でいけるわ。

んでまぁ、どれだけ足遅くても50分授業で持久走だけやったらめちゃくちゃ時間は余るもので。残った時間はしんどい子は休憩して、元気な子はバドミントンやったりドッヂボールやったりしてるんだけど。
わたしらは、どうも今から身体動かす気にもなれなくて。かと言って喋ってるのも寒いしヒマだから、特に目的もなく男子が体育やってる体育館に来た。体育館の端に並んで座ると、既に何人かの女子が見に来てた。

「いいなぁバスケ。楽しそ」

「入れてもらってきなよ」

「それはさすがにダメでしょ」

キュッキュッ、って靴の裏のグリップが音を立てて、ドンドンッ、ってボールがドリブルする音がする。そして誰かがシュートを決めるたびに、テンション上がった男子たちの雄叫びがうるさく響いた。

「やっぱかっこいいよね出水くん」

「あんたブレないね」

ちなみに高校でよくつるんでるこの女友達は、いつかのぶりっ子女子。高校に上がってイメチェンを試みたのか、ぶりっ子が痛いと気づいたのかは知らないけど、今は髪も染めてサバサバしたギャルになっている。うん、前々から思ってたけどこの子はやっぱこっちのが似合ってる。

でも大幅なイメージチェンジに成功したとはいえ、イケメン好きは相変わらずご健全みたい。

「運動神経だけはいいんだよねアイツ」

「やっぱボーダーでもそうなの？頭使うより動くタイプ？」

「出水のあだ名教えてあげようか」

「なによ」

「『弾バカ』。ドカドカ撃つことしか知らない脳筋だから」

「へえ〜、じゃあAは何バカ？」

「しばくぞ」

わたしには『銃バカ』と『傘バカ』とかいうクソほど不名誉なあだ名がふたつもありますけどなにか文句でも？……いや、わたしの方が文句タラタラだわ。