#10話『雨粒のアルストロメリア』 ページ1
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休み明け、朝。
目を覚ましたその瞬間から、Aは不機嫌だった。
屋根に雨粒が打ち付けられる音、纏わりつくような暗い匂い、そして、湿気でどこか元気のない髪の毛……。その全てがAを苛立たせて、Aはガシガシと頭を掻きむしりながら掛け布団を蹴り飛ばす。
「雨ェ…………」
元よりAは低血圧だ。ただでさえ湿気が多いと感情が不安定になるというのに、カーテンを開けた先の空が曇っていて、どうにも気分が晴れない。ヂィッと盛大な舌打ちをしたAは、乱雑に髪を結んで、顔を洗いに洗面台へと向かうのであった。
「おはようA、朝から絶不調ね」
「……頭痛い」
キッチンで洗い物を片付けながら、にこやかに笑う母。リビングを見ると、仕事に向かう父がネクタイを締めている。そんな父の横を通り過ぎようとすると、彼は眼鏡の奥の優しそうな目を細めた。
「A、おはよう」
「…………」
「……おはよう」
「…………チッ」
しつこく挨拶を求めてくる父に、痺れを切らしたAが舌打ちをした、次の瞬間。ぐんっと後ろから首根っこを引っ張られて、身体が数センチ浮きあがる。
「……Aてめぇ、挨拶のひとつもロクにできねェんか」
「…………あ゛？」
「こら、朝から喧嘩しないの」
言い忘れていたが、父は元ヤンだ。学生時代は荒れに荒れていて、ある日通りがかった花屋から出てきた母に一目惚れしたのだという。そしてその芯の強さに惚れ直し、結婚に至ったとか何とか。
母からの「ガラの悪い男は嫌い」という言葉でまるくなり、今では娘が切り傷ひとつ負おうものなら過保護に騒ぎ立てるが、時折こうして元ヤンが垣間見えることがある。ついでに言うと、長女･花のヤンキー気質は完全に父親譲りである。
(ウチの家、まともな人っていないのかしら……)
過保護だがキレると手の付けられない父、それ以上に喧嘩っ早く人の話を聞かない長女、天然で全くもって空気の読めない次女、その全てを手のひらで自在に操り、侍らせる母。
そして、末っ子気質なうえにお嬢様気質な三女。
しかしそれに気づかず“我が家のまともじゃない人”にしれっと自分をカウントしないで家族を憐れむAもAで大概である。
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レナ(プロフ) - 面白いので更新してください！ (3月13日 3時) (
レス) @page17 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
もり - 青柳ちゃんかっこかわいいー！！めっちゃ面白いです！更新頑張ってください！ (1月5日 9時) (レス) @page8 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - いろんなヒロアカ小説読みましたが、こちらのヒロインちゃんが1番好き！！強くてかっこいい女子好きです！これからどうやって恋愛展開になっていくのか楽しみです！！更新頑張ってください！ (10月12日 17時) (レス) @page3 id: 6970de97bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年9月30日 23時
