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座っていたのは男女それぞれひとりずつで、恵と呼ばれたのは黒髪の男子の方だった。
Aはパンダと棘と3人で物陰に隠れながらその様子を盗み見る。
｢禪院先輩｣
｢私を苗字で呼ぶんじゃねえ…………｣
｢真希、真希！｣
｢ん？｣
そんな真希をパンダが呼び止める。真希はムッとして黒目だけをこちらに向ける。苗字で呼ばれたことがよっぽど気に食わないらしい。
｢マジで死んでるんですよ、昨日！1年坊がひとり！｣
｢おかか！｣
フキンシンやで真希、と控えめに言うAたちに、真希はわなわなと震えながら｢は･や･く･い･え･や！｣と振り向いた。
｢これじゃ私が血も涙もねえ鬼みてえだろ！｣
｢実際そんな感じだぞ｣
｢ツナマヨ｣
そんな様子を見て、もう1人の1年……釘崎野薔薇が怪訝そうに眉をひそめて恵に訊ねた。
｢何、あの人たち｣
1人(1匹？)人かどうか怪しいのもいるが。
｢2年の先輩。…………禪院先輩、呪具の扱いなら学生一だ。呪言師･狗巻先輩、語彙がおにぎりの具しかない。陰陽師･蕨美先輩、すぐ泣く。パンダ先輩｣
｢アンタ、パンダをパンダで済ますつもりか｣
名前だけで片付けられたパンダもアレだが、たった一言で紹介を終えられたAもAだ。
｢雑やな伏黒くん｣
｢紹介にそんな時間かけてらんないでしょ｣
｢なんか私がただの泣き虫みたいやん………｣
｢え、違うんすか｣
｢酷いっ……！｣
｢しゃけ！ツナツナ！おかか！｣
｢ほんと蕨美先輩絡みになると口調ガチですよね狗巻先輩｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年2月12日 12時
