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頭を抱えてガタガタと震えるAの肩に、｢落ち着け｣と言わんばかりに棘が手を置いた。そして安心させるように、優しく背中を叩く。
｢大丈夫です、誰も死なないし先輩も死なせません｣
｢ツナマヨ｣
｢……そうですね。五条先生に連絡しましょう。蕨美先輩お願いします｣
｢え、私？！｣
｢ちょっ…………と待て｣
右手の親指と小指を立ててふるふると耳の辺りで振る棘のジェスチャーに伏黒が頷く。それに対してあからさまに嫌そうな顔をするAの様子に、加茂は密かに首を傾げた。
｢君たちは彼が何を言っているのかわかるのか？というか君は何故はそんなにも嫌そうなんだ｣
｢私あの人苦手やわ………………｣
｢俺もぶっちゃけ苦手です……ってそんな事どうでもいいでしょ、相手は『領域』を使うかもしれません｣
｢やな。とりあえず距離とって五条せんせの所まで────｣
後退するしかないね、死にたくないし。
スマホを耳にあてながらそう続けようとしたAだったが、それはかなわなかった。だって、
━━━━━━━パキッ！
｢！｣
離れた所に居たはずの花御がAの目の前に迫っていた。声を出す暇もなく、右手に持っていたスマートフォンを弾き飛ばされる。そして花御は、スマホを弾いた拳をAの頭部めがけて振り下ろした。その速さに、とても反応しきれない。
｢『動くな』──！｣
『！』
｢………………っひ、｣
その瞬間、花御の動きが止まる。
側頭葉ギリギリまで迫った拳に、思わず喉からか細い声が漏れた。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年2月12日 12時
