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(………………って、和んでる場合ちゃうやん)
繋がれていない方の手で頬をぱちんと弾く。
集中せな!と何度か頬を弾き、スマートフォンに向き直る。Aが思いついた『とある作戦』とは、京都校の誰かの携帯電話をどうにかして奪い、仲間を装って電話をかけ、引っかかって電話に出たところを棘の呪言で眠らせる、というものだ。
戦わずして相手を戦闘不能に……と必死で考えた結果がこれだ。
(これぞ『京都の皆さんまとめてぐーすかぴー作戦』!
寝ちゃったらそのまま棄権やから誰も痛い思いせーへんし、かつ私らも勝てる!なんて平和!素晴らしい!天才や!)
誰も犠牲にならないと言っちゃあならないが、携帯を奪うためにメカ丸がパンダにボコボコにされたことについては何も言わないらしい。
自慢げに鼻を鳴らすAを横目に、早速ターゲットを見つけた棘がスマートフォンを耳に押し当てる。そして、
「───────『眠れ』」
棘がそう言うと、電話の向こうからの声は途切れ、その変わりに、気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。
どうやら作戦は上手くいったらしい。
「やった、平和解決」
「しゃけしゃけ」
よかったねえ、とにこにこ笑うAを見て棘はふっと微笑むと、そんな彼女の横でぶんぶん尻尾を振っている玉犬の頭に手を置いた。
「『戻れ』」
「あ」
その言葉の通り、玉犬は影へ戻っていく。
Aは目をぱちぱちさせ、「ええの?」と尋ねた。
「しゃけ」
「いやでも伏黒くんが」
「おかか」
「………………」
「高菜」
「……………………そお?」
棘的には、Aに頭を撫でてもらった玉犬が羨ましいというかなんというか、撫でてもらっていいのは俺だけだという気持ちだったのだろう。まあ索敵は梅がやってくれるので問題はないのだけれど。
……………………と、その時
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時