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と、その時


『げげげ!』


梅の鼻がぴくりと動く。それと同時に玉犬も吠えた。


(合図!)


ギラりと怪しく光る爪が前方を示す。その先には、


────どご、いグのぉ〜?


「ぎゃあ!」


ずるんっ、と上から目の前に振ってきた3級呪霊。蜘蛛のような気色の悪いそれにAが思わず悲鳴をあげる。然し、怖がりだが実力だけはあるAだ。

すかさず抜いた仕込み杖で呪霊を一刀両断にする
……───寸前、


「先輩ストップ!」

「おかか!」


腕を引かれ、後ろによろめく。
そのお陰で白光りする仕込み杖の切っ先は呪霊に届かなかった、が。


━━━━━━━━ドォォオオオオン!


「!」


勢いよく横から飛び出してきた何かが、呪霊を吹き飛ばした。周囲の木をも巻き込んだその一撃を放ったのは、他でもないあの人。


「ぃよーし、全員いるな!!」


腹の底にまで響く大声。Aの一回り以上も大きな身体が目の前に着地する。東堂葵。京都校において最も危険で恐ろしい男。


「まとめてかかってこい!」


A達はここで彼を相手をすることだってできるが、そうすれば全滅する可能性もある。
そこで立てた策が『虎杖だけ残してバラける』というもの。勇敢に飛び出して行く虎杖の凄まじい蹴りが東堂の顔面に決まると、棘とパンダと野薔薇は右へ、真希と伏黒は左へ走り出す。


「散れ!」


Aは懐から取り出した御札を梅の貼り付け、「頼んだよ」とだけ残すと、慌てて棘たちの後に続いた。


「分かっちゃいたけど化物ね」

「気迫エグっ、あんなんとやり合うとか私は二度と御免やわ」

「そ。だから無視無視」

「ツナ」









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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時

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