検索窓
今日:5 hit、昨日:35 hit、合計:615,730 hit

■■■ ページ21









「ただいま帰りましたー」

「高菜ッ!」

「あれえ。棘」


それから部屋に着くまでにわらび餅は完食し、空になった容器の入ったビニール袋をぶんぶん振り回しながら自室に入る。すると我が物顔でベッドに座っていた棘が「遅い!」とでも言いたげに自分の隣をばしばし叩いた。


「すじこ」

「パンダにわらび餅食べられたから買いに行ってただけやよ、大丈夫」

「ツナツナ!おかか!」

「うう…………はいはい」


棘が入浴中にコンビニに走ったものだから、棘からしたら風呂から上がるとAがいなくて心配したのだろう。夜道は1人じゃ駄目!と何度も釘を刺すと、隣にちょこんと座ったAの膝に頭を乗せた。


「……………………こんぶ」

「撫でろと」

「しゃけ」


そして言われるがまま、風呂上がりの髪に指を通して撫でると、棘はまるで子猫みたいに目を細めた。


「高菜〜…………」

「ふふ、髪の毛伸びたねえ」

「しゃけ」

「ん、私?」


さらさらやねえ、と髪を梳いていると、棘の手が頭に伸びてくる。その手がAの髪を結っていた髪留めを解くと、胸元まで伸ばされた長い髪がさらりと流れた。棘は徐に身体を起こすと、その透き通った首筋に顔を埋めた。


「ちょ、ふふ、こしょばい………………」

「しゃけ」


熱を孕んだ声が耳元で鳴って、ほんの少しだけ、Aの肩がぴくりと揺れたのを棘は見逃さなかった。
小さな彼女の身体をそっと包み込むと、そのままベッドに横たえる。


「ん、っ………………」


首筋から頬にかけてを唇でなぞれば、華奢な喉から甘い声が漏れた。


「高菜、」


言うなれば、何も言わず何処かへ行ったお仕置だ。
何かを言おうとした紅い唇に、噛み付くように自分のを重ねる。角度を変えて何度も重ねて、名残惜しく離れると、紅潮しきったAの頬があった。


「棘のいじわる」


ふいっとそっぽを向くいじらしい態度ですら愛しく思えて、もう1回、もう1回とその甘美で真っ赤な果実を堪能するのであった。









■■■→←■■■



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (190 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
798人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 狗巻棘
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。