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数分後。敷地内を歩くAは、棘に手を引かれながらキョロキョロと辺りを見渡していた。
｢そういやチビちゃんらどこ行ったん？｣
｢パシッた｣
｢あのなぁ、後輩を良いように使たらあかんで｣
｢ツナツナ｣
｢え、私の分のおしるこも頼んどいてくれたん？優秀やな、ええ子らや｣
｢変わり身早いなぁ相変わらず。それより、あいつらだけで大丈夫なのか？｣
｢3歳児じゃねえんだ。おつかいくらいできんだろ｣
自販機も高専の敷地内にある。
暫くすれば頼んでおいた飲み物を持って問題なく戻ってくるだろう。……だが、今日はそう簡単にいかなさそうなのだ。だって、
｢京都校の学長さん来んの、確か今日やったっけ｣
｢ん？｣
｢ほら、交流会の打ち合わせで｣
｢ツナ｣
少し前に起こった、特級呪霊相手にも拘わらず1年生だけを派遣した件。それは1年担任の五条とバチバチに揉めている上層部が仕組んだんじゃないかという話を聞いたことがあった。京都の学長はもちろん上層部側。バッタリ鉢合わせでもしたらマズイんじゃないかと、Aとパンダは眉を下げた。
｢ターゲットだった1年…虎杖は死んでんだ。恵たちを今更どうこうするつもりもねえだろ。｣
京都の学長は、表立った騒ぎを好き好んで起こすような人には見えないし、その心配はないだろうと真希は言う。けれど、
｢それは教師側だけの話ちゃう？先生には立場あるからあれやけど、生徒側はそうでもなさそうやで。向こうの生徒、嫌がらせとか大好きやん？例えばあの子…………｣
京都校の知り合い…………Aの脳に、1人の影が浮かんだ。その人が誰かを悟った真希の顔色が分かりやすく曇る。やっぱり言わない方がいいかな、と1度は口を噤んだAだが、ぽつりと一言。
｢……………………真依とか｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年2月12日 12時
