## ページ38
･
一方。勝己チームからハチマキをかっさらい、満を持してその場を後にした物間は、上機嫌だった。
「2位かぁ……ちょっと出来すぎかも。まぁキープに専念だ」
調子づくA組に、予選で目立たなかったB組が一気に巻き返すことで知らしめてやる。たかが敵と戦った経験があるからって注目を集めているけど、実際に優れているのはA組ではなく、入学してから真面目に授業に取り組んできたB組なんだと。
入試を上位の成績で通過した最強コンビでも、煽って煽って煽りまくれば粗は出てくる。その粗を突いてやれば、強い個性なんてなくても出し抜くなんて簡単なのだ。1位にこだわりはないし、このままのポイントを維持できればいい。
「待てええええ！待てって！！！」
すると、後ろから声が。
「しつこいなぁ。その粘着質はヒーロー以前に人として……」
うんざりしたように振り返る物間……の、目と鼻の先に迫る、爆破。
「勝手すな爆豪━━━━！！」
切島が呼び止めていたのは自分たちではなく、1人で独断専行する勝己だったのだ。
「円場！ガード！」
すかさず指示を出した物間の声に、前騎馬の円場が反応する。
彼の個性は『空気凝固』。吹き出した空気を固める力で、勝己との間に見えない壁が形成される。だが、
「アホ女！！」
「青柳！」
今度は勝己が呼びかける。勝己の腹部に巻きついていた蔓からまた植物が伸びて、空気の壁を覆い尽くす。そしてあっという間に壁を粉々に粉砕した。
「？！」
「オラァ！」
円場が新たな壁を張るより早く、勝己が物間の首元に揺れるハチマキを掴み、強引に引きちぎった。
「取られた！2本！」
『爆豪チーム2本奪取で3位に！！……この終盤で順位が変わりゆく！若気の至りだァ！！』
勝己の奮闘で順位が最下位から2回戦通過ラインまで一気に上がる。
けど、Aが狙うのは3位なんかじゃない。
「さんざん煽っといてはいサヨナラとは言わせないわ……！獲られた分とアイツらの分！あとは1000万も貰って1位通過よ！！」
勝つなら、相手と圧倒的な差をつけた勝利がいい。『このポイントなら確実に4位以内』だなんて向こうは言っていたが、Aはそんな生半可な気持ちで戦いに挑んでいる訳ではないのだ。力強く叫んだAの真っ直ぐな眼差しに、勝己は「分かってんじゃねェか」と吐き捨てる。
「さっきの俺単騎じゃ踏ん張りが効かねえ！行け！！俺らの点も取り返して1000万へ行く！！」
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 236人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめこ。(プロフ) - 小川優さん» コメントありがとうございます！ほんとデクくん可愛いですよね……！こんな弟いたら確実にブラコンです^^ (2022年6月3日 19時) (
レス) id: c383897a04 (このIDを非表示/違反報告)
小川優(プロフ) - デク可愛いなあ、、確か弟属性だ、、可愛い、、、 (2022年6月3日 17時) (レス) @page21 id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ。(プロフ) - 小川優さん» コメントありがとうございます！青柳ちゃんは心も喧嘩も最強だと思っております笑笑 (2022年6月2日 22時) (レス) id: c383897a04 (このIDを非表示/違反報告)
小川優(プロフ) - めっちゃ面白かったです!青柳ちゃん強し笑 (2022年5月31日 23時) (レス) @page17 id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年4月12日 22時
