episode #92 ページ46
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同じ頃、無陀野は1人、部屋で本を読んでいた。
(……面倒なのがいないと何だか変だな)
顔を上げると、そこにぽつんとあるベッドは一段、机はひとつ。いつも二段ベッドの上で林檎を齧りながら読書をしていたAの姿は、もうどこにもなかった。
一緒に生活していた時は、面倒くさがりで暇さえあれば自 殺行為に手を染めるAが独り立ちすることを強く望んでいたが、いざ居なくなるとそうでもないようで。また傷を増やしてないかとか、迅と2人で上手くやっていけてるだろうかとかいう心配は尽きない。
(心配するだけ時間の無駄、か)
こっちがどれだけ心配しても、結局のところはA次第だ。なるようになるさとため息を吐いた無陀野は徐に立ち上がり、部屋を出た。
薄暗い夜の道を歩けば、初めてAと会った日のことが蘇ってくる。幼いAは何の感情も映さない無機質な赤い瞳をこちらに向けて、校長に手を引かれていた。
……そう、確かそれは京夜と2人で。自販機の前で買った飲み物を片手に、特に話題もなく並んで座っていた時。
｢…………無人くん｣
自販機でコーヒーを買う無陀野の背後、ゆらりと空気が揺れたかと思うと、優しい声がした。噂をすれば、校長の登場だ。
｢やあ無人くん。夜のお散歩？｣
｢そんな感じです｣
｢へー、Aちゃんはもう寝ちゃった？｣
｢Aは、｣
もう寝てますよ、と言おうとして口を噤む。
今日から寮生活が始まって、もう2人で生活をしていないのだと説明すると、校長はまた｢へー｣と笑いを転がした。
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レン(プロフ) - 桃源暗記の夢小説少ないんでめちゃくちゃ嬉しいです！しかもお話も面白くてもう神かなんかですか?!これからも無理せず更新頑張ってください!応援してます！ (2022年1月4日 22時) (
レス) id: 9afc0ca98b (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 思わず一気読みしてしまいました！とっても面白いです、更新も無理ない程度に頑張って下さい！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 16a4fd6cb5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 久々に更新嬉しい！ (2021年11月17日 18時) (レス) id: bb356cf189 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ヒロアカでまめこさんに出会いまして、桃源暗鬼も書いてる！ってなって来ました！これからも引き続き更新頑張って下さい！ (2021年9月12日 11時) (レス) id: 1c4434e42e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - もうほんと最高です (2021年8月20日 22時) (レス) id: 75eebcd608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月31日 19時
