past_episode #01 ページ41
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＿＿＿＿＿私には美人なお母さんと、面白いお父さんと、優しいお兄さんがいた。
お父さんと兄さんは血が繋がってない義理の家族。
だけど、私は彼らを本当の家族だと思っていた。
血が繋がっていなくても、お互いに愛し合い、助け合う家族だと。
『A！公園行こうぜ！』
同い年の双子の× ×兄さんは、よく私を遊びに連れていってくれた。方向音痴な私が迷わないように、いつも手を握ってくれて、そのおかげで私は迷子にならなかった。優しくて大きくて暖かくて、いつも私を正しい方へ導いてくれる手。私は× ×兄さんの手が大好きだった。
『俺たちは兄妹で、どんなときも一緒なんだ』
『うん！約束ね』
『約束！』
× ×兄さんに手を引かれて走り回っている間は、私はお姫様にでもなった気分だった。こうして手を繋いでいればずっと一緒にいられるって。
………………そんな夢をいつまでも見ていられるって、思ってた。
『× ×兄さん、今日はどこへ行くの？』
『今日は少し遠くに行ってみよう。友達と秘密基地つくったんだ。Aにも紹介してやるよ』
その日は雨上がりで、蒸し暑い空に不穏な風が吹いていた。雲がかかって薄暗くて、そんな雰囲気が怖かったけど、× ×兄さんと手を繋いでいたからへっちゃらだった。
『父さんがさ、近いうちにAと母さんをいい所に連れていってくれるんだって』
『いい所……もしかして旅行とか？』
『ふふ、どうだかな、どこかはお楽しみってさ』
『へえ、お楽しみかあ。』
その時の会話と、× ×兄さんの表情を今も鮮明に覚えてる。そして、その会話に違和感を覚えなかった自分を、ずっとずっと憎んでる。
私とお母さんをいい所へ─────
…………じゃあ、× ×兄さんは？
お出かけが嬉しくて、そんなこと思いもしなかった。
どこに行くんだろう。遊園地かな、海かな、なんて呑気なこと思って。そのお出かけの行き先が楽しいテーマパークなんかじゃなく、真っ暗な地獄だとは知らずに、秘密基地で束の間のひと時を過ごした。
『A、今日は帰ろう』
『ええ〜っ、もう？まだ遊びたい』
『ああ。そろそろ“準備”できた頃だろ』
『準備？』
何の準備だろう。旅行に行く準備かな。って。ご機嫌に弾む私の足は、確かに地獄へと向かっていた。
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レン(プロフ) - 桃源暗記の夢小説少ないんでめちゃくちゃ嬉しいです！しかもお話も面白くてもう神かなんかですか?!これからも無理せず更新頑張ってください!応援してます！ (2022年1月4日 22時) (
レス) id: 9afc0ca98b (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 思わず一気読みしてしまいました！とっても面白いです、更新も無理ない程度に頑張って下さい！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 16a4fd6cb5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 久々に更新嬉しい！ (2021年11月17日 18時) (レス) id: bb356cf189 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ヒロアカでまめこさんに出会いまして、桃源暗鬼も書いてる！ってなって来ました！これからも引き続き更新頑張って下さい！ (2021年9月12日 11時) (レス) id: 1c4434e42e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - もうほんと最高です (2021年8月20日 22時) (レス) id: 75eebcd608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月31日 19時
