鬼さんこちら、手の鳴る方へ。２【桃源暗鬼】

episode #86 ページ38

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初めてできた“友達”。これには素直に嬉しく思ったAの表情が少し明るくなる。堅物そうだった彼女の初めて見せる笑顔に、水鶏と帆稀は顔を見合せた。


｢今度予定空いてる日いつだ、3人で駅前のショッピングモール行こうぜ｣

｢わ、私、休日は基本空いてます｣

｢お前は？｣

｢私はいつでも｣

｢じゃあ今週末な｣


男を相手におかしなことを言い出すおかしい子…と思っていたが、根はいい子なようだ。面倒見がよく明るくて、みんなの姉貴分といったところだろうか。

うん、今週末ね。と呟くAの背中を叩き、｢前向かなきゃ可愛い顔が台無しだぞ！｣と豪快に笑う水鶏。生まれて初めて、｢可愛い｣という言葉を素直に受け取った気がする。

そうして和んでいると、向こうでグッチョッパーをしていた男子たちの笑い声が聞こえてきた。


｢だっははは！オイ黒葛原！災難だったな！｣

｢よりによってこいつとか！｣


涙が出るほど爆笑する矢颪に手招きされ、その横でひっくり返って腹を抱える四季たちに不信げな目を向ければ、｢女子と同室が良かった…｣と死んでいる遊摺部と、無言で自身の拳を睨みつける迅の姿が目に飛び込んできた。まさか、


｢皇后崎くん…………｣

｢黙れ、俺だって嫌だ｣


結局部屋は帆稀と水鶏の女子コンビ、手術岾と矢颪、四季と遊摺部、そしてAと迅のペアに分類された。常に無陀野が目を光らせていてリスカのできない部屋よりかはマシかと無理やり言い聞かせ、A再びため息を吐いた。






─ ─ ─ ─ ─
原作の部屋割りは四季くん＆迅くん、手術岾くん＆矢颪くん、ムダ先＆遊摺部くん、帆稀ちゃん＆水鶏ちゃんのペアです。

遊摺部くんと組ませようとしたのですが色々とヤバそうなのでちょっと変えました。ご了承ください

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