episode #08 ページ10
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無陀野に指示された教室は、更衣室から少し歩いたところにあった。無陀野は｢走れば15秒で着く｣と言っていたが、恐らくローラーシューズありきのタイムだろうからその記録はアテにしない方がよさそうだ。
……とはいえ、Aとてワクワクドキドキ高校生ライフに一切の興味も示さないわけではない。もしかしたら楽しいことが待っているかもしれない、とほんの少しだけ期待して教室に踏み込む、が。
────────しーん…………
(…………………………あらっ)
思っていたより広い教室の中に人影は6つ。
ガラリと開いた扉から入ってきたAに一気に視線が集まるが、その視線の群れはすぐに消えていく。
(高校生にしては随分と静かだね)
これはAの勝手な偏見だが、最近の高校生といえば人の目や場所を問わずしゃあしゃあと騒ぎ散らすものだと思っていた。知らんけど。想像と違う雰囲気に困惑しつつ、まあいいか、と点いたばかりの興味の炎を鎮火したAは、1番奥の席に座った。
(暇だなあ、無人くんいつ戻ってくるんだろ。もしかしてあの子死んじゃった？いいなあ私も死のうかな)
教室内にいくつか用意された椅子に、皆が少し間隔を開けて座っている。流石に初対面の相手となると緊張するのだろうか。Aの2つ前の席に座っている金髪マスクの少年も、話し出すような素振りは一切見せない。
(学校ってこんなつまんないの……？)
暇を持て余しすぎて『死にたい』気持ちが沸き上がり、気がつけば、血を使う時以外は出すなと言われていたカッターをポケットから取り出していた。
｢……………………死のう｣
…と、その時
───────ガタン！
｢え？｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
