episode #43 ページ45
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そう呟いてモジモジしている水鶏に心の中で｢嬉しいんだね｣とツッコミを入れ、Aはちらりと視線を下ろし、自身の服装を改めて見てみた。
1番上のボタンを開けたブラウスに、包帯を隠すようにオーバーサイズの緩めカーディガンを羽織り、水鶏ほどではないがスカートも膝上までと短めである。何の不便もないような格好だが、Aはひとつ不満があった。
｢私もネクタイ欲しいな｣
そう。迅と矢颪以外の男子陣はみんなネクタイを締めている。水鶏はブラウスのボタンを開けすぎているからネクタイは無理だとして、Aは付けても問題ないはず。しかし、無陀野はきっぱりとその要求を拒否した。
｢無理だ。お前、ネクタイなんか付けたらすぐ首吊ろうとするだろ｣
｢いやそんなんで首吊りなんかするバカいるわけ…｣
｢…………………………チッ｣
｢マジで吊ろうとしてたのかよ？！俺以上のにバカだな！｣
目的がバレて舌打ちをかましたAは、こいつアホすぎるだろ！と叫ぶ四季をロックオンし、その赤い瞳をギラギラと光らせた。
｢傷ついた。お詫びに君がしてるネクタイ頂戴よ｣
｢やらねえよ！｣
｢………………そんなに死にたいならここから飛び降りたらどうだ？｣
｢その手があったか｣
｢バッカ待て待て、やめろ！早まるな！｣
迅の言葉に感嘆の声をあげ、柵を乗り越え早速海へとダイブしようとするAに四季が飛びついた。
持ちうる全ての力で抵抗するAを甲板に引き摺り下ろそうと必死な四季は、迅に｢余計なこと言いやがってお前も手伝え！｣と言うが彼はフル無視だった。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
