episode #42 ページ44
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────────数時間後
｢よおっし！ツノ消せたぞ！見ろほら！｣
頭から鬼の角を消すことに成功し、ドヤ顔で自分の額を示す四季。それに矢颪が｢もうみんなできてるよビリっけつ｣と言い放ち、｢あ？殺すぞ｣と四季が突っかかる。
──────そんな彼らが今どこにいるかと言うと。
｢…………海、きれい｣
京都の鬼機関から緊急の応援要請を受けたAたちは、京都の部隊に向かう船で海の上を進んでいる。
Aは柵にもたれかかり、ザプンと船にぶつかっては消えていく波をボーッと眺めていた。
｢先生！桃太郎機関と交戦中の所に僕らが行って、大丈夫なんですか？｣
ビッと手を挙げ、律儀に眼鏡を押し上げてそう言ったのは、確かクラスメイトの遊摺部。眼鏡レンズの奥で緑の瞳が賢そうに光った。
｢仕方ない。教師を含め他のクラスも実習でいないし。それに行くといってもお前らは雑務の手伝いだ。戦場には行かない｣
｢はァ？！戦わないのかよ！｣
｢俺ら鬼ごっこの実習もやらず、その上パシリかよ？｣
｢雑務もれっきとした仕事だと思うぞ！｣
途中で中断されたせいで鬼ごっこもしていない矢颪が忌々しげに叫ぶと、遊摺部が宥めるように言った。
｢俺は戦いの実績を積みてえんだよ黙れ眼鏡！｣と悪態をつかれた遊摺部は颯爽と眼鏡を外して｢これで眼鏡じゃありませんけど｣と答えているが、多分そういう意味ではない。
｢どーでもいいけど何でこんな制服で行くんだよ？｣
鋭い声がしてその方を見れば、そこには俗に言う『ヤンキー座り』をして無陀野を睨めあげる女子生徒。
下着が見えそうなギリギリのラインまで短くされたスカートを履き、ブラウスのボタンを盛大に開け散らかして露出度がとんでもないその少女の名は漣 水鶏というらしい。
｢前の服は目立つ。ツノもな。…………………それと、煙草は吸うな。匂いがするぞ｣
｢は、はァ？！うっせーし！｣
初対面の時から彼女は煙草を吸っていた。今はその手にないが、匂いでバレたようだ。
慌てて答えた水鶏は煙草がバレて焦っているのかと思いきや、そうではなく。
｢私の身体の心配してくれたのか……？いや別に嬉しいとかじゃねーけど…………｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
