episode #04 ページ5
･
何が何だか分からずパニックに陥りかけているAに、無陀野は｢落ち着け｣と冷静な声をかける。
落ち着けるわけないでしょ！と叫べば、彼は露骨に嫌そうな顔をした。
｢これ以上ただ飯を食らい続ける気なのかお前は。
羅刹学園を卒業してどこかしらの組織に入り、桃関と戦うのがお前の役割だ。分かるだろう｣
｢分かんない。ただ飯食らいが要らないなら死ぬよ｣
｢馬鹿、やめろ｣
巻いたばかりの包帯を解いてカッターを取り出そうとするAの右腕を掴んで止める。カランと地面に落ちたカッターを踏みつけられ、Aはムッと眉を顰めて無陀野を睨めあげた。
｢何よ｣
｢これは命令だ。まず校長がお前を拾った時点で進学は決まっていたも同然。拒否も抵抗もできない｣
｢やだ。学校なんかに行ったってつまんないだけよ。
それなら死んだ方がずっとマシだし。人生リセマラして鬼の血が流れるこの身体ごと取っ替えてやる！｣
──────パシッ！
｢……………………は？｣
刹那、頬で鈍い音と、刺すような痛みが弾ける。
気づくとAは横を向いていて、思い切り頬を張られたのだと理解した。恐らく手形がついているであろう右頬を擦りながら顔を上げると、こちらを見下ろす無陀野と目が合う。
｢まだそんな下らない寝言を言っているのか。
死にたいならとっとと死ねばいい。…………
｢……………………………死ねって言ったり死ぬなって言ったり意味わかんない｣
｢今は分からなくていい。ただ、何もできず無様に殺されるか、やれることはやったと思って死ぬのなら俺は後者の方がいいと思うだけだ。どうせ死ぬならマシな方を選べ｣
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
