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episode #33 ページ35
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突然のカミングアウトに、隠れてそれを聞いていたAでさえ息を飲んだ。
｢だったら何だよ。俺の父親は桃太郎だ。
……………………そして俺から全てを奪ったクズだ！家族も憧れも全部！｣
ぐっと拳に力を込める迅の瞳には、何もかもを奪った憎い父親に対する殺意の炎が揺れていた。
｢父親に刻まれた全身の傷のおかげで一瞬だって憎しみが消えたことはない。ゴミを喰らってでも生きることに縋りついた…………｣
殺意、執念、目的…………。迅が抱える全ての感情が、彼の身体を突き動かした。覆い被さる傘を払い除け、継ぎ接ぎのような傷で埋め尽くされた手で地面を押して起き上がる。
｢全ては父親を殺すために！そのためなら死ぬのなんて怖くないんだよ！｣
憎き父親を殺すため、家族の無念を晴らすため。
迅の心に燃ゆる闘志はまだ消えようとしていない。
…………が、
｢ガキが何言ってんだ？はき違えるなよ｣
無陀野は、そんな迅の苦痛の嘆きに優しく寄り添うような人間ではない。息も絶え絶えに身体を起こした迅の頭を掴み、勢いよく地面に叩きつける。その一撃でとうとう迅は力尽き、必死で伸ばした手は地面に落ちた。
｢目標のために死ぬな。目標のために生き抜け。
それが分からないならお前に明日はない｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
