episode #30 ページ32
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使い方が分からないとか言っていながらも難なく巨人を倒してしまった四季。しかしあれだけの巨人を一撃で倒し、天候まで変える攻撃を放った四季がこれ以上動けるはずもなく、
｢屏風ヶ浦、大丈夫…………か、｣
力なく地面に伏した帆稀に手を貸そうと一歩踏み出す四季の身体はぐらりと揺れ、彼もその場に倒れ込んでしまった。────そんな彼らの元へ、シャーッと何かが滑る音が聞こえてくる。
｢脱力感で身体が動かないだろ｣
｢！｣
淡々とした声が響く。パッと顔を上げれば案の定、相変わらず冷たい視線を四季に落とす無陀野がいた。
｢あれだけ高濃度の血を撃ち込んだから血が足りないんだろ。無理するな。目も霞んでいるだろ｣
｢っぜ、全然余裕！｣
｢血を使いすぎたら最悪死ぬぞ｣
｢ええ？！｣
｢四季はその辺のコントロールがまだまだだな｣
大丈夫だと調子づいて起き上がる四季だが、無陀野からの容赦ないお前死ぬぞ宣言に、また地面に逆戻りした。息があがり、まともに立つことすらできない四季は、ゼェゼェと苦しげに呼吸をしながら言った。
｢そ、そうだ………屏風ヶ浦を……見てくれよ……血ぃ使いすぎてると思…う……から……｣
俺のことは後でもいいから、と訴えかける四季もなかなかの瀕死状態。こんな時にも他人の心配をするのかと思いつつ、とりあえず1番重症な帆稀の所へ向かおうとする無陀野…………だったが、
｢！｣
背後から何者かの気配がして傘を振るうと、その傘と何かがぶつかる感覚。すたっ、と地面に着地し、腕の傷口から武器を出した迅がこちらを睨めつけていた。
｢そんな奴らどうでもいいだろ、時間がもったいねえ｣
｢応急処置しないと危険だと言ったら？｣
｢俺には関係ない｣
悉く冷めきった迅の瞳には、自分の目的しか映っていない。自分を差し置いてでも仲間の心配をする四季とは違った彼の様子に、無陀野はハァとため息をひとつついた。
｢関係ない……か。生徒を分別するつもりはないが、
────────嫌いだよ。お前みたいなタイプは｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
