episode #03 ページ4
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これでどう？というように真新しい包帯の巻かれた腕を上げると、無陀野は本日2度目のため息を吐いて何も言わずに踵を返す。着いてこいということだろう。Aも無言でその後を追いかけた。
｢俺が鬼関の教師なのは知っているな｣
｢ええもちろん。ラセツ学園……だったっけ。お
｢その通り｣
ローラーシューズの無陀野と素足のAじゃそのスピードは天と地ほど差がある。ぴたりと止まった無陀野に追いつく頃には、Aはゼェゼェ息を切らしていた。私もローラーシューズ買おうかな、なんて思いながら顔を上げると、無陀野は口を開く。
｢お前、高校受験は？｣
｢しない｣
｢そうか。………………なら、うちの生徒になれ｣
｢…………………………えッ｣
その言葉に、思わず素っ頓狂な声が漏れた。
…………言葉の意味を理解するのにきっちり1分かかってしまった。そりゃあそうだろう。いきなりすぎて混乱するAに、無陀野はもう一度、今度はわかりやすいように｢来年度から羅刹学園の生徒になれ｣と言う。
｢いやいやちょっと待ってよ。生徒って……私が？！
一体どうやって？鬼の学校でしょう？！｣
｢これからお前には入試試験を受けてもらう。それに合格すれば晴れて羅刹学園生だ。何か文句でも？｣
｢文句しかないよ、拒否権ないの？｣
｢残念ながら｣
｢マジでか………………｣
いつも通りの淡々とした口調で無陀野は続ける。
拒否権はないとはいえ、Aにだって拒否したい理由がある。当然だろう。Aの人生はAにしか歩めない。進学する高校まで決められてたまるかという話である。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
