episode #25 ページ27
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Aたち鬼は、普通の人間と比べて血液量が多い。
だとしても、今、帆稀が流している血の量は明らかに彼女の身体に合っていない。現に帆稀は血をだらだら流して苦しそうだし、目から溢れる涙はいつの間にやら血涙へと変わっていた。
───────ザアッッ！
何がなにやら分からず呆然と立ち尽くすAたちに、刹那、巨人が両手を振り上げた。
｢っぶねえ！｣
先程のサイコパスっぷりから、きっとAはこの攻撃を避けないだろうと察した四季は即座にAの首根っこを掴んで引き寄せていた。それでもその凄まじい一撃は、容赦なく3人を吹き飛ばした。
｢わ｣
｢あっぶね！マジ危ねぇ！あの厨二マスク死んだんじゃねーだろうな？！｣
｢今のモロに受けたら確実に死ぬね｣
立てるか？と差し出された手は借りずに起き上がる。
枝や砂が混じった土煙に包まれて辺りは見えず、迅の安否を確認できない。もう死んだんじゃないかと思ったAたちだったが、直後、煙幕がゆらりと揺らめいた。
｢！｣
迅の血蝕解放は『七つの断罪』。血からあらゆる切断器具を創り出す能力だ。それにより腕の傷口から現れた刃物で、迅は勢いよく巨人に斬りかかった。
───────が、
｢……………………効いてない｣
鋭い刃は巨人の手を掠めたが、その程度の攻撃じゃビクともしない。余裕そうな表情をしていた迅の顔が、ここで初めて悔しげに歪んだ。
｢オイ黒葛原、お前もアイツみたいに血からなんか出せねえの？！やべえよやられちまう！｣
｢無理。私はみんなみたく血を武器に変えるようなカッコいい事できない｣
は？じゃあどうやって勝てば……と焦る四季だが、Aの言葉はまだ終わっていない。かさぶたになりかけた頬の傷を擦れば、また傷が開いて血が溢れてくる。
｢────私の場合は、血液そのものが武器だから｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
