episode #22 ページ24
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それから暫く歩いていると、どんどん音は大きくなり、2人に近づいていると分かる。更に進むと木の向こうに人影が見えて、Aはホッとしたように帆稀と顔を見合わせると、最後の木の間を潜り抜けた。
｢お二人やっと見つけました〜……｣
｢その様子じゃボールはまだ見つかって…………！｣
見つかってないんだね、と言おうとしたが、その声は紡がれなかった。だって、
｢危ねえ！｣
迅の能力なのか、彼の方から斬撃のようなものが飛んできていた。それは真っ直ぐ四季の方へと向かっていたが、その直線上にはAと帆稀。このままでは2人がやられてしまう。慌てて止めようと走る四季だが、それよりも先にAが動いた。
｢ッ！｣
咄嗟に帆稀を背に庇い、自分も後ろへとよろける。
しかしそれでも避けきれなかったのか、白く透き通った頬に一筋の血が流れた。
｢あ………………｣
｢大丈夫か2人とも！｣
制服の袖で頬を拭うと、そこにべったりとした赤黒い血がシミを残した。がぱりと傷口が開き、溢れる血は止まりそうにない。
｢ああっ、ごめんなさい…私を庇ったせいで……！｣
｢いや大丈夫。これくらいの怪我なんてことない｣
｢女の顔に傷つけるとかゴミかよ！危ねぇだろ謝れ！｣
ひたすら立ち竦んで手についた血を眺めているA。
そんなAに帆稀は何度も何度も謝り、四季は迅に罵声を浴びせた。普通なら、女だからとか気にしなくていいよ、と言っていただろうが、何故かAは動かない。まるで見蕩れるかのように自分の血を見詰めている。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
