episode #20 ページ22
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──────ドォォオオオン…………ッ
地響きと同時に、遠くの木が揺れているのが見える。
その音に顔を上げたAは、不思議そうに首を傾げた。
｢何？｣
｢と、とんでもない音しましたね…………！｣
あの後、さっさと行ってしまった男性陣に置いていかれたAと帆稀は、2人でボール探しに勤しむことにした。軽い自己紹介を終え、お互いの素性が明らかになった頃に物音が聞こえてきたのだ。きっと迅と四季が喧嘩しているのだろうとAは軽く流すが、帆稀はビクビク怯えて辺りを見渡している。
｢………………立派な木が沢山生えてる。ここで首を吊ったら死ねるかな…そう思うよね、屏風ヶ浦さん｣
｢ひぃっ？！｣
仲良くなれるかもしれないと帆稀は思ったが、それは間違いだったようだ。Aのまるで光の灯らない目は立ち並ぶ木だけを見詰めていて、その脳内には『良いロープないかな』ということしかない。とんでもない自 殺願望者と関わることになってしまった帆稀は恐る恐るAから離れるが、足元の窪みに躓いて頭から地面に突っ込んだ。
｢………………大丈夫？｣
｢かかかか勘弁してください私なんか食べても美味しくないですすす…………｣
｢いや食べないし｣
｢すッ……すみませんっ！………ああやっぱり私が退学だ、こんなゴミ人間がいれるところじゃないんだ…｣
｢心配しなくても私の方がよっぽどゴミだよ。上には上のゴミがいるから安心して｣
人を励ましたり慰めたりするのに慣れていない。
そもそも誰かとこうして話したりする経験がなかったので、その言葉が正しいのか訳が分からなくなってきた。まず上には上のゴミがいるって何なんだ。自分で言っておいて意味不明である。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月21日 14時
