02:満天の星の下、笑顔がひとつ死んだ ページ2
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Arthur.side
俺には幼なじみがいた。
幼なじみと言っていいのか危ういけど。
家の近くにあった倉庫の中に住んでいた、まるで妖精のような少女だった。
………………小人とも言えるか？
毎晩のように両親に殴られ、会う度に新しい傷をどこかしらに付けていた。
『いたくないからいいの』
馬鹿言え。痛くないはずないだろ。
俺は彼女が気になって仕方なくて、幼いながらに必死で考えていた。
あの牢獄からお姫様を助け出す方法を。
『来ちゃダメだよ。死にたいの？』
いつも彼女は無表情で口数が少なかった。
たまに声を発したと思えば、そんな事ばかり言った。
見つかったら君までこんな目にあうよ。って。
初めは倉庫にすら入れてくれなかった。
けど毎日毎日会いに行くと、3ヶ月してようやっと扉を開けてくれた。
森羅｢何ボケーッとしてんの。いつもよりあほ面だぞ｣
アーサー｢考え事してるんだ｣
森羅｢アーサーが考え事？珍し｣
それから俺は倉庫に通うようになった。
何も知らない彼女に遊びを教えてやったり、お菓子を持っていったり。
両親が現れて殴られるのは夜中だから、昼間に会いに行って沢山遊んだ。
早くあんなところから出してやりたかったのに、彼女は頑なにそれを拒んだ。
『誰もいない今が逃げるチャンスだけど』
『そんなことしたらお父さんが血眼になって私を探すよ。見つかったら君までこんな目にあうよ。』
『またそれ………………』
『これ以上ここから出そうとするんだったら出入禁止にするから』
そばに居てやることしかできなかった。
今思えば、強引にでも引きずり出すべきだったのにな。
彼女の誕生日に、俺はネックレスを渡した。
…………母上のをこっそり持ってきただけなんだけど。
『これ、いいの？』
その時彼女ははじめて笑った。
大事にする！と錆びたクッキーの空き缶にそっとしまって、ふと手を止めると缶から出したネックレスを持って走ってきた。
『つけて！』
びっくりするほど似合っていたのを思い出す。
笑顔を見られたことが嬉しくて、夢にまで彼女の笑った顔が浮かんだ。
今日はどんな話をしよう。そんなことを考えながら倉庫に向かったある日。事件は起きた。
『A？』
そこに、彼女はいなかった。
死んだのか、誰かに連れて行かれたのか、それとも自分の足でここから出たのか。
アーサー｢…………………………会いたい｣
森羅｢何言ってんだお前。なんか気持ち悪｣
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まめこ。(プロフ) - しらぬいさん» ありがとうございます！！嬉しいです！ (2020年5月24日 8時) (
レス) id: 4740a5bcfa (このIDを非表示/違反報告)
しらぬい - 初めまして！「騎士王に愛されています。」が好きで、こちらも読ませて頂きました！めっちゃ泣きました……アーサーがもう…かっこよすぎです！！「騎士王に愛されています。」も応援しています！！ (2020年5月23日 22時) (レス) id: 0e73265dcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2020年5月21日 15時
