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「い、ッッた!」


────その日の夜。
風呂から上がったAは、ベッドに座っていた。
昼間に転んで擦りむいた膝の怪我に消毒液を垂らすと激痛が走って、思わずその場に転がる。


「痛い死ぬ。もう死ぬ。痛い。無理。」


血は止まったものの、触れただけで傷口が痛む。
いっその事足を切り落としてしまいたくなるその痛みに涙を零しながら、恐る恐る絆創膏を貼り付けた。
ちなみに剥がしても痛くないタイプのやつである。


『ほら、呪術師って命懸けだからよ』


「………………そんなん分かっとるわアホっっ」


何故か数時間前のパンダの言葉がフラッシュバックしてきて、痛みに対する腹いせに、思いきり枕を壁に投げつけた。真希の本音と、パンダたちの言うことは説得力があったし、心を動かされた。けれどよく良く考えれば、今更言ったところでどうしたらいいんだという話だ。


「……私が誰よりも弱くてビビりで泣き虫なん分かってるし。今までまともに外にも出てへん私が人並みに戦えるわけないやろがッ、私だって頑張ってるもん」


彼らの言葉に納得したはずなのに、また心のモヤモヤが膨らんでいく。自分の弱さが不甲斐なくてどんどんネガティブな方へ走ってしまう、Aの悪い癖だ。溢れる涙を抑えることなどとうに諦めていて、ぐすんぐすんと泣きながら只管に枕を殴りつけた。


「辞めたいとか何回も思ったよ!そりゃあ何もできひん足手まといなんかただの迷惑やし。分かってるわ!」









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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年3月4日 15時

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