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なんでそんなこと聞くんだ?と問うてくるパンダと棘に、先月の任務でのことを正直に打ち明けた。
…………まあ隠す理由もないのだけれど、何となく言いづらかったのである。
「なるほどなー。それで自分が呪術師になりたい理由が正しいのか分かんなくなったワケだ」
「そ、そう」
順序もぐちゃぐちゃで語彙力もなくて。そんな会話下手なAの説明でも2人は理解してくれたらしく、そんな事があったのか、と頷いてくれている。
そして、その全てを言葉にすると余計に自分が惨めに見えて、Aは俯き混じりに呟いた。
「私、正直言って呪術師向いてないんとちゃうかなあって思って…………」
「まあ、向いてねえわな」
「ぴぎゃッ………………」
こうもズバッと言われるとは思っておらず、心にぐさりと何かが刺さった感覚に陥ったAは、その場に崩れ落ちる。
高専生になってもうすぐ2ヶ月が経とうとしているが、まだAは4級術師で、初めは階級すらつけられないほどレベルが低かった。そんなAに呪術師のセンスがない事など自分が一番分かっている。代々伝わる一族で特別扱いされるほど恵まれた能力を与えられたのに力を発揮できないなんて、宝の持ち腐れもいい所である。
「でもA的には、向いてないからって辞める選択肢はねえんだろ?それなら頑張って続けるべきだと俺は思うけどな」
「しゃけ」
「そうかな………………」
「まーまーそう落ち込むなよ。深く考えすぎるのは体に毒だし、変に頑張る理由をつけようと無理しても、その理由が足枷になる時だってあるんだから」
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年3月4日 15時