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それから受験生たちのガチンコバトルは続き、全ての組が戦い終えると、今までの熱気と打って変わって静まり返る会場にウィリアムの声が響いた。
｢以上で試験は終わりだ。番号の呼ばれた受験生は前に出てきてくれ。
その受験生の入団を望む騎士団長は挙手をお願いする。挙手した団に入団するか否か、そして挙手した団が複数ある場合にどこの団を選ぶかは受験生の自由だ。……ただ、先に言った通り、挙手した団がない場合、魔法騎士団には入れない｣
ここが運命の分かれ道。
唾を飲む受験生を前に、ウィリアムは1番から順に呼んだ。
｢32番“紫苑の鯱”｣
｢78番“紅蓮の獅子王”｣
｢116番 挙手なし｣
｢141番 挙手なし｣
ゆっくりと心の準備をする受験生たちは置き去りに、彼らは容赦なく現実を叩きつけてくる。無事に入団が決まった者は心からほっとしたような表情を浮かべ、挙手されなかった者は｢自分はこんなものか｣と俯いた。そして、
｢次……164番｣
次に呼ばれたのはユノだ。
皆の注目を集めながら前に出る彼を欲しがる団はどれくらいいるのか、そしてあの“金色の夜明け”団長ウィリアムは彼を見初めるのか。
群衆はそんな期待に胸を膨らませるが、しかしその結果は……
｢…………嘘だろ、｣
｢全団……挙手──────？！｣
なんと、9人の全ての団長がユノが欲しいと手を挙げた。
これにはAも驚きで、その大きな目をぱちぱちと瞬かせた。
でもまあ、あれだけできる者がいたら欲しくなるのは当たり前なのか。
｢“金色の夜明け”団でお願いします｣
当然のようにユノが言うと、壇上のウィリアムが満足げに頷いた。
会場に冷たいつむじ風が吹き抜けた。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
