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｢や、やばいですよヤミさん……！あの子だけ規格外すぎます！｣
｢ああ。とんでもねえ量の魔力持ってやがる｣
ざわめきが起こる中、“黒の暴牛”団団長ヤミと、付いて来ていたフィンラルがAを指して話している。可愛い顔してとんでもない…！とフィンラルがガタガタ震える横で、ヤミはもう一度Aをその視界に入れた。
(ドラゴンを召喚なんてただでさえ魔力消耗激しいのに、それに対応できる魔力が備わってるってか……ありゃおっかねえぞ)
ふう、と煙草をふかしたヤミがそんなことを考えているとは露知らず、ドロドロに溶けた一角獣を前に腰を抜かしたゼルダに手を差し伸べたAは、恐る恐る取られた手を引いて彼を起き上がらせた。
｢可愛いユニコーン溶かしちゃうのは胸が痛かった。ごめん｣
｢惨敗だ…………｣
｢最初からわかってた。でもね｣
尽くフラグを回収し、もうゼルダには面子もクソもない。
そんな彼の顔を覗きこんだAの目に光はない。弧を描く唇が微かに動くと、か細い声がゼルダの耳に届く。
｢ガッカリしたよ。君、思ったより弱くって｣
｢っ……！｣
そうとだけ吐き捨て、Aは満を持してラウンドを降りた。
もうちょっとだけ魔法を使って戦いを楽しみたかったがまぁ仕方ない。やり残したことはないので、あとは鑑賞を楽しむことにした。
次に前に出たのは、“四つ葉”のユノと貴族･ハプシャス家のサリム。
サリムはユノをたとえ選ばれた才があろうと所詮は下民だと見くびっていたようだ。ゼルダ同様、勝てると自信満々のドヤ顔で挑んだ、が、
｢風創成魔法“暴嵐の塔”｣
｢ぐあっ！｣
こちらも一撃だった。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
