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｢クラウス先輩の妹なんだとか｣
……と思いきや、彼は盛大にAの地雷を踏み抜いた。
｢あぁ……うん｣
別に隠すつもりもなかったし、同じ団に所属しているとなれば遅かれ早かれ関わることになるのは必然だ。どうせ新人の教育係でも喜んで買って出たのだろう。今年15になるAが“金色の夜明け”団に入団してくると期待して、それでも来なかったうえに最悪の騎士団に入ったなんて聞いた時の顔を想像したら些か気分は晴れた。
｢うるさいでしょ、あの人。身分にも厳しいし｣
｢まぁな。でも気にせずのし上がるだけだ｣
｢バカにしてた下民が大出世したら悔しむだろうね。とことん思い知らせてやってよ｣
｢……嫌いなのか？｣
────今更か。
やはりユノは少し天然というか、そういう所があるのかもしれない。
小さく頷いたAは眉を下げて、そのまつ毛を伏せて言った。
｢だってあの人、私のこと嫌いだもん｣
｢そうは見えないけどな｣
｢魔法ばっかで私なんか見てくれないし……｣
Aが生まれ持った莫大な魔力とずば抜けた魔法センス。
兄はいつもAの魔法を褒めてくれた。上手く魔力を扱えるようになったり、新たな動物を召喚できるようになったり。彼がAを褒めるのはいつだって魔法。魔法、魔法、魔法……。
自慢の妹だと言ってくれても、お前が自慢に思っているのは妹ではなく、優秀な妹を持っている自分だろうと思えて仕方ない。
｢……部外者が口挟むような事じゃないんだろうけどさ、もうちょっと甘えてみてもいいんじゃないか？｣
｢え？｣
｢お前が思ってるような人には見えないから。まぁあくまで俺視点での話だけど｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
