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その後、好きな物見てきていいわよ！とバネッサに言われたので各々が気になるものを探して別行動になった。ちなみにAは幾つかの店を回ってからもう一度あの闇市に戻り、特に買うでもなくアイテムを眺めている。
(うーん……なんか良いのないかなぁ)
闇市の商品は危険なものが多いが、その危険度の高さは効果と比例する。
魔法のプラスになるなら是非とも持ちたい…というのが3割。
そして残りの7割は、願わくば、いつかバネッサとチャーミーから教わった使い魔を飼いたい！という願望だ。しかし魔力を持ったペットなんてそうそういないのも確か。諦めて服でも見に行きますか、と闇市を後にしかけたAだが、ふと視界の端に何かを見つけた。
｢何これ………｣
そこにあったのは小さな黄色い石。パワーストーンか何かだろうか。あちこちくすんでしまっているが、まだ綺麗な箇所は透き通るガラスのようだ。目立たない所にぽつんと置かれた、正直道端に転がっている石の方がよっぽど綺麗だが、何故かAはその石から目が離せなかった。
｢あ、あの｣
｢ん？……お、君バネッサちゃんと一緒にいた子だね。どうしたんだい？｣
思わず店主に尋ねてみる。｢これなんですか？｣と差し出した石を見ると、店主はにこやかに笑った。
｢これね、なんか昔から伝わる魔導具とかいうから安く買取ったけど見た感じただの石ころでねェ。ほんの僅かながら魔力を帯びてるみたいなんだけど、何か起きるような気配もなければ持っててもなんの効果もねえんだよ｣
｢不用品ってことですか？｣
｢まぁそうなるね。それだったらタダで持ってっていいぜ｣
｢じゃあ……有難く｣
ただの石ころでも、手放さない方がいいと本能が告げている。
どうせお金を取られないなら損もないし、せっかくだし持っていることにしよう。Aは店主に会釈をし、石をポケットにしまった。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
