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その後、拘束したヒースたちに村を襲った目的を問い詰めるも、隠し持っていた魔道具で魔法を発動させ、なんと自害。敵の組織によほど忠誠を誓った相手でもいたのか、命をも犠牲にしてまで目的を漏らさまいとしたその覚悟は並大抵のものではなかった。
…………そして、視点は“黒の暴牛”団アジトへと戻る。
｢お前ら！散々だったな！何はともあれご苦労、馬鹿野郎共｣
｢アスタくんそのアンチドリをそろそろ私に｣
｢まだ言ってんのかよ、いーけどコイツお前のこと嫌いみてえよ？｣
｢…………｣
魔力が嫌いなアンチドリにとって、とんでもない量の魔力を持つAは天敵のようなもの。あからさまに嫌悪を向けられ、Aは崩れ落ちた。無類の動物マニアであるAにとって“動物に嫌われる”というのは何より残酷な仕打ちなのである。
｢犯人の遺留品を魔法鑑識課が調査中だけど、有力な情報は得られてないみたい｣
珍しく二日酔いで顔色の悪くない素面のバネッサが教えてくれる。
彼らの言動や持っていた懐中時計の高価さから、王貴界の過激派･思想犯ではないかという見解らしい。まぁどっちにせよ、その辺の調査や判断は上に任せるものとしよう。とにかくAたちは憎たらしいあのヒースを完膚なきまで負かすことができたのでそれでいい。
｢まぁ何だってよし。魔法帝に活躍を認められ、星を授与されたんだからな！｣
どうやら調査結果の曖昧さを気にしなくていい理由はもうひとつあったようだ。ヤミが豪快に笑いながら取りだしてきたのは文字通り小さな“星”型のエンブレム。
｢ほ、星ってなんだ？｣
｢魔法騎士団は任務の達成度に応じてこの星を貰えるんだけど、その取得数を名誉として競い合ってるんだって｣
｢へえ、詳しいなA！｣
｢今トップは“金色の夜明け”団の70個よ｣
｢“金色の夜明け”…………｣
やはり魔法の成績においてトップはいつも“金色の夜明け”団。
あの団に負けたくない個人的な理由を持つAは、その表情を僅かに暗くさせた。何がなんでも追い越してやる、そして“あの人”のプライドをズタズタにしてやる、と。その胸には黒い闘志が燃える。
｢ちなみに団長、うちの団は今いくつなんですか？｣
｢知りたいか？聞いて驚け。
───────これでキリよくマイナス30だ！！！｣
(マイナスとかあるの━━━？！)
その差、脅威の100個。目指すべき道はずっと遠いようだ。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
