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疲れきって眠ってしまったAとアスタの周りに、無事に救われた村人たちが集まってきた。そして誰もが皆、自分たちのために命を懸けた少年少女に労いの言葉をかける。
｢いやあ……すごかったなあ｣
｢まだこんなに幼いのに｣
｢こっちの子、本当に私たちと同じ下民なの？｣
……と、そこへ、空の向こうから一匹の小鳥が飛んできた。
｢なんだ？……ツバメ？｣
何やら石ころを咥えたツバメはアスタの上に止まり、その小憎たらしい瞳で眠りこける彼を見下ろしている。と思いきや、次の瞬間、口に咥えた石でアスタの頭をつつきはじめた。あまりの痛みに飛び起きたアスタはツバメの存在に気づき、そして叫ぶ。
｢あ━━━っ！お前は試験会場にいた…えーと……アンチドリ？！｣
魔法騎士団入団試験の会場にて、受験生たちを出迎えたアンチドリたちは、確か魔力のない人間にほどよくたかるんだとか。彼らに逃げられてショックを受けたことは記憶に新しい。今でもそれを引き摺って友達になりたがっていたが、生憎Aは眠っている。
そしてアスタはアンチドリが咥える石に気づき、それに飛びついた。
｢お前これこの村のモンじゃねえのか？！離しなさいこのォ〜！｣
｢あげるよ。そんな石でいいのなら。君たちは私たちの救世主だ……！｣
“救世主だ”なんて、魔力がないと蔑まれてきたアスタにとってはこれ程ない褒め言葉だ。拍手喝采の声に薄らと目を開けたAはアスタと目が合うと、柔らかく微笑んでみせた。
ヤミとマグナによる賭け勝負からイノシシ狩りとして始まったこの任務は激戦の末、こうして無事に幕を閉じた。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
