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｢
アスタがヒースに挑んでは玉砕している中、Aは座り込んで目を閉じていた。諦めたのではない。
……………………次に備えていたのだ。
｢残念だが、もうじきお前は死ぬ｣
｢─────させるかボケェ！｣
Aが意味深な一言を呟く傍で、マグナが水の防御から飛び出した。
｢そいつらを殺るなら先輩であるこの俺を殺ってからにしやがれ！｣
｢マグナ先輩……！｣
｢わざわざ早死にしにきたか｣
｢上等だ……いくぞアスタ、洗礼の儀だ……！｣
｢！｣
懐かしのワードが飛び出すと共に、マグナの魔導書が眩く光る。
同時に魔導書を開いたAの両側にいたはずのドラゴンはいつの間にか消えている。その代わりに、光の中から新たな生き物が牙を剥く。
｢合わせろお嬢！｣
｢そのつもりで
奴に一発入れるため、少し休んで魔力を溜めていたのだ。完全に回復した訳ではないが、“その動物”を召喚するには充分すぎる量である。
｢双獣召喚魔法“シンドバッドの風弓”！！｣
｢炎創成魔法“獄殺散弾魔球”！！｣
Aの最後の魔力で現れたロック鳥が巨大な翼を羽ばたかせた。
象を3頭まとめて運べるだけあるその力強い羽ばたきで生まれた突風が、マグナの魔球を更に加速させる。
｢………………無駄が多すぎる｣
｢無駄じゃねえ！｣
｢無駄じゃない！｣
｢！？｣
氷の壁で魔球を防いだヒースの後ろで影が揺れる。Aの傍で風を送り続けるのとは別に、もう一体のロック鳥がアスタをそこまで運んでいた。…………その存在に気づいた時にはもう遅い。反魔法の剣が、飛んできた魔法を跳ね返した。
ヒースの敗因はアスタの諦めの悪さを見くびっていた事、Aが使うのはドラゴンだけだと思っていた事、そして、振り絞った僅かな魔力でも、力を合わせれば大きな戦力になると知らなかったこと。
｢オラァ！！｣
風で勢いを増す炎の魔球が直撃したところを、アスタの剣で殴りつけて完全に意識を飛ばす。今度こそ綺麗に決まったその一撃で、ヒースの身体はぴくりとも動かなくなった。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
