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ノエルが展開した“海竜の巣”に触れると、そこから氷結が広がり、水の壁がどんどん脆くなっていく。このままでは皆殺しだ。
…………と、揺らめく炎がその氷を溶かした。
｢一歩でも入ったら丸焼きにする｣
｢どいつもこいつもしぶといな……｣
先程のヒースの言葉通り、もうドラゴンの炎を出せる魔力はまともに残っていない。今の生半可な炎じゃ歯が立たないとわかっていたけど、その威嚇の視線が緩むことはなかった。
｢傷を負って魔力も消耗してる今が畳み掛けるチャンス……まだ諦めてなんかない。私も、
｢！｣
Aに気を取られたヒースの背後、諦めず立ち上がったアスタが大きく刀を振りかぶった。
｢遅い｣
消耗したとはいえ、ヒースの圧倒的な魔力の前では尽く打ちのめされるだけ。それでもなお諦めないアスタは、何度吹き飛ばしても止まない。何度も何度も突っ込んで、その度に反撃を食らって、血だらけになりながら、剣に寄りかかって立ち上がる。
｢諦めたら…誰が守るんだ……！気づいたんだ……約束を守るためだけじゃない！俺はみんなを守るために、魔法帝になる！｣
魔力のないアスタが魔法帝になるなんて遠すぎる夢だ。
誰にバカにされても貫いてきたその夢が、今にも倒れそうなアスタの身体を押す大きな原動力になっていた。それを聞いたヒースは｢残念な夢だ｣と鼻で笑うが、Aは知っている。人の夢をバカにするものには天罰が下るのだと。
｢………………
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
