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肩に刺さった氷を引き抜くとゴポリと血が溢れてくる。痛みで目が眩みそうだけど、あと一息だ。Aは気合を入れるように両頬を叩き、起き上がった。こんな所でやられてはいけない。アスタの加勢に行かなければ。
｢A！！あのうぜェ氷何とかしてくれ！｣
｢任せて！｣
最高火力の炎は防がれてもおかしくないが、魔法を貫くアスタの刀なら、確実に相手に致命傷を与えられるだろう。一度起きた失敗はもう二度と起こさない。指笛を吹くと、2頭のドラゴンが元気よく飛び出した。これでこそAの魔法だ。
ありったけの魔力を込めて噴き出した炎に巻きあげられた氷の礫が散っていく。さっきはまさか防がれるなんて思っていなかった故の一撃だった。……でも今は、絶え間なく炎を浴びせ続けることで常に攻撃を相殺し、新たに氷を生ませる隙を与えない。
(喉が焼ける……！)
ヒースの攻撃の手が一瞬止まる。その一瞬でがぱりと炎が開け、その道をアスタが猛スピードで駆けていく。
｢俺に魔力なんかねえ。……でもお前をブチのめす！！！｣
刀の切っ先がヒースの腹部に突き刺さる。確実にトドメをさすことができたと、誰もが思ったが。
｢剣は魔法を無効化できても、お前自身はただの人間のようだな｣
(足元の水を……！)
Aの炎で溶かされた氷が水となって溜まっていた。
たった一瞬、防御も攻撃もする暇はないと判断したヒースは少しでもダメージを減らそうと、すぐ近くの足元にできた水溜まりを凍らせたのだ。滑らせて勢いを殺したことで、急所に刀が刺さるのを避けた。
｢あちらの娘の魔法は見事だった。しかしあれ程までの炎を出して、もう魔力は残り少ないだろう？……─────今度はこちらの番だ！｣
刹那、鋭い氷の斬撃がアスタを貫いた。吐血しながら倒れる彼を見届けたヒースが次に目をつけたのは、
｢とてつもない魔力の魔法だ……だが人1人分の侵入口を作ることはできそうだ｣
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
